同じ場所にとどまらない。席を譲り、前を向いて進もう

――では、女性社員たちにもそのようなメッセージを送っているのでしょうか。

木島 はい。「仕事ができるようになったなら、後輩に席を譲って、前を向いて進んでいきましょう。それが自身の成長につながる」と。

 研修には、キャリア形成支援プログラムを導入しています。自身のスキルや価値観を棚卸しして、中長期のキャリアビジョンとアクションプランを考えるものです。そうした機会の提供によって、「上を目指す」マインドセットが進んでいきました。

 主任層からのスタートでしたが、キャリアとは「○年目になったら考えればいい」というものではないですよね。そこで、早い段階からキャリアを考える習慣を持てるように、入社時からキャリア研修をするようになりました。

 私自身は、課長、部長と昇進し、今は専務執行役員となりました。20代の頃に上司から「上を目指せ」と言われ、そのとおりに走ってきて、よかったと思っています。

 だって「楽しい」から。上のポジションに上がるたびに新しい人に出会えたし、「こんな経験ができるんだ」とワクワクできた。楽しかったし、今も楽しいから、上がってきてよかったと思っています。だから社員たちにも、ワクワクする経験を増やしてほしいと思うんです。

「できないこと」を気にせず、強みを研ぎ澄ませる

――もう一つのKPIとして「2025年末までにライン長ポストにおける女性社員の割合 30%」を目指していらっしゃいますね。進捗はいかがですか。

木島 マイルストーンとして「2020年までに20%」を置いています。現在17.7%ですので、達成の目途はついています。

 とはいえ、誰でもいいから枠に収めるということはしません。やはり意思決定に参画できるような人財でなければ。目的は「意思決定の場に多様性を持たせる」ことですから。

 私も経営層が参加している会議などの場で、男性の中に女性一人ということもあります。決して居心地がいいものではありません。だからと言って私は黙っているタイプではないので(笑)、例えば男性経営陣の意見に偏りを感じたときなど、「これを言うのは私の役割」と思い発言します。でも、ストレスは感じている。周囲からはそんなふうに見えていないでしょうが……。やはり、意思決定の場には多様な人財がいたほうがいいんです。

 ライン長ポストへの引き上げを狙い、候補社員を絞った育成も進めています。私自身、自ら新たなポジションを狙って取りに行ったというより、上司に引き上げてもらったポジションでチャレンジをしてきました。今は自らポジションを取りに行く時代ですので、引き上げてあげるというより、「あなたにはこういう強みがあるから、こんな役割を担えるんじゃない?」と背中を押しています

 主任~課長代理の層を対象に行っているスキルアップトレーニング研修では、自身の強みと弱みを知り、長期スパンで能力強化を図るプログラムも実施しています。ただ、私としては、「弱み」を解消することも大切だけど、「強み」を伸ばしていくのがいいと思っています。

 女性は「できないこと」を気にしすぎる傾向がありますね。それより「できること」をさらに磨くことで個人のキャラクターが明確になり、仕事に生きてくる。だから、「武器をより鋭利にしてください」と伝えています。

「自ら積極的に手を挙げられない人も、キャリアアップに向けて背中を押してあげたい」(木島専務執行役員)
「自ら積極的に手を挙げられない人も、キャリアアップに向けて背中を押してあげたい」(木島専務執行役員)