サステナビリティ部門が会社にとって重要な役割を担う

ステファニー 日興アセットマネジメントは世界に展開する資産運用会社で、とても非日本的な日本企業です。世界各拠点の事業がグローバルに統合されており、そこから多様な考え方が生まれてきます。サステナビリティ部門が当社にとって非常に重要な役割を担っています。

 資産運用会社とは、資産がどう運用されているかばかり重視され、企業自身の行動を注目されることはあまりありません。私は社内で「アイデア・ジェネレーション・フォーラム」というミーティングを主催しています。会社の中の誰もが、商品やプロセスの効率向上などのアイデアを何でも持ち寄ることができるという場です。

 その場において、2018年に、ある社員がLGBTQに関するアイデアを出してきました。そのアイデアを実現する部門がないということが分かったため、関連のワーキンググループをつくりました。また、女性のニーズについて話し合う場もなかったため、女性のワーキンググループもつくりました。その後もボトムアップで熱心にこうした活動に取り組んできました。それが短期間で広がり、「コーポレート・サステナビリティの部門をつくらなければいけない」ということになったのです。その後も数々のワーキンググループがつくられ、今では社員の約7.5%に当たる、のべ61人がこれらのワーキンググループに入り、活動しています。

金融は男性社会 女性管理職比率の目標「2030年に30%」

「D&Iを達成するためには、一つの方法でアプローチするだけでは足りません。まず必要なのは、企業のDNAを変えることです」(ステファニーさん)
「D&Iを達成するためには、一つの方法でアプローチするだけでは足りません。まず必要なのは、企業のDNAを変えることです」(ステファニーさん)

ステファニー 女性管理職比率は、2021年7月時点でグローバルで19.7%でした。これを2030年には30%にするという目標を掲げています。この目標はあまり野心的だと思えないかもしれませんが、金融業界はタフであり、女性で金融業界で働き続ける人は少ないという現状があります。男性中心の環境であり、女性の昇進はまだ難しいのです。

 D&Iを達成するためには、一つの方法でアプローチするだけでは足りません。まず必要なのは、企業のDNAを変えることです。つまり、D&Iが企業風土の一部にならなければいけません。社員全員が何らかのかたちでサステナビリティに関わるようにならなければいけません。

 例えば、障がい者の支援として当社は、障がい者アスリートを雇用するプログラムを導入しています。車いすラグビー日本代表キャプテンとしてリオデジャネイロパラリンピックと東京パラリンピックの銅メダリストでもある、池透暢さんは当社のマーケティング部門に勤務する社員です。認知症の親を介護しながら勤務している社員を支えるために、月1回専門家を招いて勉強する場として「介護カフェ」という会も開いています。

 LGBTQに関するプログラムもありますし、UNHCRと協働して、シリア難民留学生をインターンとして受け入れるという取り組みもしています。シリア難民の方のつらい経験を共有しながら、そうした問題についての意識を高めています。カンボジアに行って浄水器を設置するというプロジェクトにもボランティアを派遣しています。ウェブサイトにスクリーンリーダーを設置して、目の見えない人にも読めるようにしています。

羽生 ステファニーさんは3人のお子さんを育てるシングルマザーであり、パトリックさんはLGBTQの当事者というわけで、ゲストの皆さんが多様性のど真ん中にいらっしゃいます。さて、石塚さん、日興アセットマネジメントさんの社会的な取り組みをどう見ましたか?

石塚 資産運用会社は会社に投資する立場ですから、どういう企業であれば競争力が高まるのかということは分かっている。だからこそ、自社内でもダイバーシティ&インクルージョンに力を入れているということがよく分かりました。