女性取締役 内部昇格は9.9%しかいない

「企業の女性取締役の数を調べたところ、9割以上を占めるのが社外取締役で、社内で育成して取締役に昇格した人は9.9%しかいませんでした」(羽生祥子)
「企業の女性取締役の数を調べたところ、9割以上を占めるのが社外取締役で、社内で育成して取締役に昇格した人は9.9%しかいませんでした」(羽生祥子)

羽生 私からも、あるデータを提示したいと思います。日経xwoman編集部が行った独自調査の結果です。東証一部上場企業(時価総額上位300社)の女性取締役の数を調べてみたところ、9割以上を占めるのが社外取締役で、社内で育成されて取締役に昇格した人は9.9%しかいませんでした。石塚さん、この数字はどうでしょうか?

石塚 嘆かわしい数字ですよね。今年、内部昇格で取締役になった方で三井住友フィナンシャルグループの工藤禎子さんがいます。工藤さんは男女雇用機会均等法の第1期生です。この世代が各企業の中で育ってきているのであれば、工藤さんのような人が各社に無数にいなければいけないはずなのに、それができていなかったためにその数字が出てしまっているのだと思います。企業側が今まで手を打ってこなかったという意味では、企業側の責任が重いといえます。

一昔前は、「24時間365日、会社に捧げられる人」が昇格条件だった

羽生 女性に与えられる機会が、男性社員よりも少ないと言われています。

石塚 今は変わっているかもしれませんが、一昔前は、24時間365日を仕事に費やせる人が会社でエリートコースを歩んでいました。日本では家庭におけるケア労働は基本的に女性が担うことが多かったため、女性が24時間を仕事に費やすのは難しかったのです。その時点で、昇格の候補者からは外れていきました。

 性別により、職域も限定されています。女性が昇進しても、活躍の場が「4R」に限定されることが多いです。つまり、PR、HR、IR、CSRのことで、この部門に女性が多く配属されます。この4Rも企業経営には絶対に欠かせない重要なポジションですが、トップに行くためにはそのほかの経験、例えば販売やグローバル業務などの機会を、女性に与える必要があるのです。

羽生 パトリックさんは、海外で「4R」という言葉を聞いたことはありますか?

パトリック コカ・コーラ社内では聞いたことがありません。私たちはマーケティングや財務などの部門でも上級管理職に女性を就けています。家庭を持つ社員でもそうしたポストに就くことができるようにする必要があるでしょう。

性別にかかわらず修羅場を経験させ、成長したら昇格させる

羽生 石塚さん、先進企業の実例はありますか?

石塚 ダイキン工業は女性活躍推進ではうまくいっている事例だと思います。基本姿勢は「下駄は履かせない。むりやり登用はしない。その代わり、チャンスは与える」としています。性別に関係なく仕事上の修羅場を経験させて、成長した社員を昇格させるという方針です。こうしたやり方であれば、男性中心の職場であっても、強い反対を受けることなく成果を上げられるのではないでしょうか。