女性管理職に対し、8カ月の長期トレーニング

羽生 日本コカ・コーラでは、女性育成についても、能動的に取り組んでいますね。

パトリック 日本コカ・コーラでの取り組みを紹介します。当社には「AccelerateHERプログラム」というものがあります。女性管理職に、さらなるキャリアアップを目指して、8カ月の長期トレーニングを受けてもらうというものです。プログラムの内容は、まず女性リーダー向けの2日間の集中トレーニングで、自分が持っている力に気付いてもらいます。ものの考え方を変えるトレーニングや、どうすれば仕事と家庭を両立できるかを考えるワークを行います。

 また、上司が一緒に参加する一日研修もあります。そこでは、インクルーシブな環境とはどういうものなのか、それを実現するためにすべきことなどを考えます。研修の後、職場に戻り、キャリア開発について上司と面談を行います。さらには、女性活躍につながる計画を自分たちで考え、経営側に提案もしています。

 グローバルでの取り組みもあります。2007年に女性活躍を推進するために、企業トップが「女性リーダーシップカウンシル」を創設しました。このカウンシルが主催する「Women in Leadership」というプログラム研修は、米国アトランタで毎年開催され、累計850人以上の女性リーダーを育成してきました。女性従業員のシニアリーダーに対しては、エグゼクティブによるスポンサーシップを提供しています。また、「Fifty50リーダーシップ」という取り組みでは、昇格の候補者リストの50%を女性にしています。そのほか、コンサルタントに入ってもらい、当社のシステムにバイアスが入り込まないようにチェックしてもらっています。

羽生 様々な取り組みをする中で、直面した課題についても教えていただけますか?

パトリック 正直に言うと、常に課題に直面してばかりです。困難があるからこそ、今お話したような取り組みを実施しているのです。日本の課題は、これらの問題が、人々のものの考え方に深く根ざしてしまっているということ。例えば、女性社員に昇格の話をしたり、修羅場経験を積めるチャンスについて話したりすると「家庭があるから」「自信がないから」と尻込みをされてしまうことがあります。この背景には、日本社会が歴史的に女性に求めてきた役割も影響していると思います。