取締役に女性を入れるだけでは何も変わらない

羽生 日興アセットマネジメントにおける取り組みはいかがでしょうか?

ステファニー 「取締役に女性を入れるべきだ」と言われて女性を入れても、企業内の実態が変わらないということがあります。なぜなら問題は現場レベルにあるからです。現場の男性上司が、女性社員をしっかりと扱っていないのです。これは実に小さな問題の積み重ねです。例えば、女性社員が仕事を切り上げて子どもを保育所に迎えにいくのを見て、男性上司が少し嫌みを言ったり、ほんの少しだけ嫌な目つきで見たりするといったような、本当にささいなことです。こうしたことをなくし、育児中の社員が尊重される環境をつくることが大事です。女性役員比率を上げるだけでは全く不十分であり、社風を変えることのほうがインパクトが大きいと思います。

 当社には「ランチ・アンド・ラーン」と名付けた昼食時の勉強会やメンタープログラムがあります。育休から復帰した女性が元いた職場に戻ることもできますし、フレックスタイム制度もあります。D&Iの取り組みはやればいい、というものではなく、やらなくてはいけないものです。目標を設定し、その達成が賞与にも影響するというものでなければなりません。

 コロナ下のリモートワークの浸透を受けて、ジャパン・ウィメンズ・グループは、新たな取り組みとして、2021年からコーポレート・サステナビリティ部と連携し、Zoomで「Power Chat」という社内イベントを定期的に実施するようになりました。女性社員が自身のキャリアや経験、女性ならではの課題について共有する社内セミナーです。リモートワークが企業風土の変革に与える影響には、素晴らしい面もあります。

 日本企業で働く人の中には「リモートワークをしたい」と長年、企業に訴えていた人もいた一方で、多くの場合「そんなことは不可能だ」と言われてきたのが実態でしょう。しかし、新型コロナウイルスの影響により、一夜にしてリモートワークが広く浸透したわけです。意思があれば正しい変化を起こすことができることの証明です。