「無理だ」と当惑した女性だけの店舗運営も、案ずるより産むが易し

伊藤 私たちがダイバーシティ推進プロジェクトを立ち上げたのは2012年です。ダイバーシティの中でも、まずは女性に重きを置きました。

 実は、その少し前に女性中心の店舗を運営していこうと、イトーヨーカドー、そごう・西武百貨店などの一部の店舗、セブンイレブン(ある1エリア)を女性中心に運営していくという方針が出ました。かなり大胆な方針でしたから、指示を受けた側は当惑し、「女性だけでできるのか?」と言う声もありましたが、「案ずるより産むが易し」。何か課題が出ても、女性同士でサッと集まって話し合い、すぐに行動に移して解決していったようです。

 例えば、スーパーマーケットの食品売り場では重いものを運ぶことがあるのですが、女性でも運べるように切り分けて納品することに。男性の身長に合わせた高い調理台は、床に台を置いて調整しました。

ダイバーシティ&インクルージョン推進のステップ、2012年・推進体制の構築、2013年・女性の意識改革、2014年・制度運用の見直し、2015年・管理職の意識改革、2016年・介護との両立支援、2017年・さらなる多様な人材の活躍推進、2018年・「ケア」の視点から「フェア」の視点へ、2019年~ダイバーシティ2.0
伊藤氏は、2012年に発足した「ダイバーシティ推進プロジェクト」を立ち上げた

伊藤 一方、ダイバーシティ推進プロジェクトでもさまざまな取り組みを始めました。最初は子育てをしながら働く女性の不安解消を目的に、「ママ’sコミュニティ」を実施。「Women’s management Community」では、女性管理職のネットワークづくりとマネジメントスキルの向上を目指して、いろいろな人たちの話を聞いてもらう場をつくりました。