男性社員の家事・育児時間の長さに驚き、世代間ギャップを実感

羽生 毎年、施策も変遷していますね。推進体制の構築の次が女性の意識改革、その次に制度にメスを入れ、新しい制度も導入しています。2013年にはイクメン推進プログラムが実施されていますが、これは男性側への支援策ですね。

2012年から毎年テーマを変えながら、さまざまな施策を実施してきた
2012年から毎年テーマを変えながら、さまざまな施策を実施してきた

伊藤 男性の理解、参加が絶対必要だという考えからです。最初は「ママ’sコミュニティ」に対して「パパ’sコミュニティ」をやりました。私も参加しましたが、20~30代の男性はかなり家事や育児を担当しているのだなと実感。私は63歳ですが、同世代だと子育ては妻に任せていた人が多く、世代間ギャップを感じましたね。この実態は、管理職に認識してもらわなくてはと思いました。

羽生 それが管理職の意識改革につながるわけですね。また、グループにおける女性管理職比率の推移もグラフ化している。現状をしっかり分析するために、ここまで数字をしっかり出していること自体、すごいことだと思います。

グループにおける女性管理職比率の現状を表すグラフ
「2013年から4~5年は係長や課長が順調に増えていたが、横ばいに。予備軍の育成が必要だ」(伊藤氏)

伊藤 当然のことながら、係長や課長の母集団を増やしていかなければ、将来の役員や部長になる人がいなくなります。しっかり数値化して管理し、「現状はこうだ」という数字を経年で追ってきました。ただ、数字的には不十分で、自慢できる状況ではありません。係長や課長級も直近で伸び悩んでいるので、係長になるまで、課長になるまでの予備軍を育てることが何よりも肝心なことです。

羽生 この課題を踏まえていろいろな施策の方向性を打ち出しています。3つの切り口があるのですね。

伊藤 女性社員の育成、上司・男性の意識改革、それを支える職場風土・制度の3つの切り口です。これらをバランスよく進めていくことが大切で、どれが欠けてもだめだと思います。