女性執行役員比率30%へ。数合わせでなく「管理職の育成」が鍵
羽生 セブン&アイ・ホールディングスは、内部昇格の取締役はいますか?
伊藤 当社は純粋持ち株会社で女性の社外取締役が1人ですが、事業会社のセブン-イレブン・ジャパンや、そごう・西武、赤ちゃん本舗、ロフトなどには、内部昇格の女性の取締役がいます。しかるべき意思決定ができるポジションに女性を配置するのは必要なこと。数合わせで増やすものではないので、そのポジションに至るまでの課長や部長の育成が大事だと思います。
羽生 取締役会に女性がいることで、変化はありましたか?
伊藤 「女性だから」ということではないかもしれませんが、男性ばかりの会議とは違った目線で、多様な意見をもらえます。何よりも、ロールモデルがいることで、働く女性社員たちが意識付けされることもあると思います。

羽生 女性執行役員比率に関してさらに高い目標を掲げているそうですが、詳しく教えてもらえますか?
伊藤 現状、女性執行役員比率は13.8%ですが、2026年2月末までにグループ全体で30%にするのが目標です。仕事上、投資家と面談することがありますが、特に外国の投資家から、女性の取締役比率や、「今後女性取締役を増やさないのか」という質問を受けることが増えました。ファンドによっては、投資基準に女性取締役比率や人数を掲げているところもある。「(女性取締役が)1人じゃだめだ」というところが多いですね。これは日本のみならず、グローバル全体の動きです。
羽生 高い目標を目指したさらなる取り組みのために、さまざまなセミナーを新たに開催されたそうですね。
伊藤 今年から新たに始めたのが「女性エンカレッジメントセミナー」です。グループ19社の課長職手前の女性社員約60人が参加。目的は、管理職への挑戦意欲の醸成です。
今年の4月から9月まで、月1回2時間で実施。コロナ禍でオンライン開催にしましたので、全国から参加が可能になりました。社長や社外取締役のルディー和子さんなどが講演し、最終回は私なので緊張しています(笑)。
事前の参加者へのアンケートでは、管理職を目指したい人・積極的に目指したい人は合計で30%でした。私たちのミッションは、この比率を上げることです。