管理職育成研修で、参加女性たちの意識に大きな変化

日経xwoman編集部 久保田智美(以下、久保田) このプログラムには、育児中の時短勤務者も参加されているのが素晴らしいと思いました。

伊藤 オンライン開催だからこそなせる業ですね。

久保田 今の時代、「働く時間」より、「成果」で評価されるのが一般的になっています。時短勤務中の社員でも、同じように成長の機会を与えていくことが重要だと思います。

「今は時短勤務で働いているけれど、管理職を目指したいという意欲の高い女性もいる。平等に成長の機会を与えることが大切」(久保田)
「今は時短勤務で働いているけれど、管理職を目指したいという意欲の高い女性もいる。平等に成長の機会を与えることが大切」(久保田)

羽生 さまざまな取り組みの成果、効果はいかがでしょうか?

伊藤 女性エンカレッジメントセミナーは、参加者の意識が間違いなく変わっています。参加者からは「グループの一員であると実感できた」とか、「モチベーションの高い人がいるのだと実感して刺激になった」という意見が出ましたし、参加者の上司のアンケートでも、9割以上の人たちが「非常に変化があった」または「変化があった」と回答。「仕事に前向きに取り組むようになった」「チームワークを大切にして、後輩の指導にあたるようになった」という意見も見られました。

 こういうことが積み重なり、チャンスがあったときに手を上げる女性が増えることを期待していますし、そうなるだろうと信じています。

羽生 最後にダイバーシティ&インクルージョンにかける思いをお聞かせください。

伊藤 まだまだ道半ばで、やることは多い。会社の壁、業種を越えて、いろんな方たちと知恵を出し合い、協力してやっていくことが大事です。

 我々は小売業でさまざまな業態があると先ほども申しましたが、労働集約型で、現場で働く人たちが支えてくれている産業です。働く人も、お客様も女性が多いため、女性の活躍が企業の成長につながると考えています。

伊藤 順朗
セブン&アイ・ホールディングス 取締役 常務執行役員 経営推進本部長
伊藤 順朗 1982年学習院大学経済学部卒業。同年、三井信託銀行入社(現・三井住友信託銀行)。87年にクレアモント大学経営大学院に留学し、89年に同大学院修士課程(MBA)修了。米国ノード・ストロームにてインターンとして勤務した後、90年にセブン‐イレブン・ジャパン入社。2009年、セブン&アイ・ホールディングス事業推進部シニアオフィサー、11年、CSR統括部シニアオフィサーを経て、16年より現職。

構成・文/岩井愛佳(日経WOMAN編集)