2021年9月17日に開催した「日経ジェンダーギャップ会議~本気の多様性確保に向けて~」。プログラムの1つ、「ジェンダー平等経営と企業価値向上を実現する人材育成戦略」と題したパネルディスカッションでは、セブン&アイ・ホールディングス取締役 常務執行役員の伊藤順朗氏が登壇。その様子をリポートする。

日経xwoman編集委員 羽生祥子(以下、羽生) セブン&アイ・ホールディングスは長年、ダイバーシティ&インクルージョンに取り組まれています。SDGs(持続可能な開発目標)達成のために5つの重点目標を定めており、その1つに「社内外の女性の活躍」が含まれていますが、まずはその理由についてお聞かせください。
セブン&アイ・ホールディングス 取締役 常務執行役員 経営推進本部長 伊藤順朗氏(以下、伊藤) 私たちのグループにはセブンイレブン、イトーヨーカドー、デニーズなど、さまざまな業種、業態があります。グループの店舗数は国内だけで2万2600店舗、グループ売り上げは約11兆円、国内1日当たりのお客様の来店数は2240万人です。国内従業員は9万5000人で、加えて、セブンイレブンの加盟店で働く人が約40万人です。多くの女性が働いていますし、お客様も約半数が女性です。そういった意味でも性別に偏りのない目線で考えることが大事な業種業態であることがお分かりいただけると思います。
小売業は労働集約型のビジネスですから、言うまでもなくマンパワーが大事で、社員だけでなく、パートタイマー、アルバイト、外国籍の従業員など、多様な人が働いています。そうした中でSDGsに対し、企業として利益を上げるだけでなく社会に対して何ができるか、しっかりと期待に応えつつ、事業としての成功も両立していきたいと考えています。

伊藤 そこで、2014年に5つの重点課題を掲げました。重点課題4では女性だけでなく多様な人たちとの共生を目指し、社内外の女性、若者、高齢者の活躍支援を挙げています。翌年の2015年にSDGsが発表されましたので、その17の目標に私たちの重点課題を当てはめるとこうなり、当然のことながらジェンダー平等も大事な取り組みです。