がん保険を日本で初めて発売したことで知られるアフラック生命保険。2020年12月に河野太郎行政改革担当相(当時)が同社の働き方を視察したことで話題を集めたが、そこで紹介した一つが「アジャイル型の働き方」。その担当部署であるアジャイル推進室と、お客様サービス推進部を率いるのが2022年1月に執行役員に就いた田中満実さんだ。田中さんは、入社2カ月で「課長になる」と宣言し、自分の過去と未来をまとめた「未来年表」通りに執行役員に就任したそう。田中さんのキャリアに関する考え方や子育てとの両立について、じっくり伺った。働く女性にとっては、とても参考になりそうだ。聞き手は平田昌信(日経xwomanプロデューサー)。

入社後2カ月で「絶対、課長になると決意」
――アフラックに入社した理由を教えてください。
田中満実さん(以下、田中) 学生時代に英語を専攻していたので、英語を使う仕事として外資系企業のアフラックを選びました。最終面接後に内定をもらいましたが、「実は第1志望の最終面接がまだ残っているので、この場では決められません」と伝えました。入社は1993年で、当時は内定を断ったらお茶をかけられるなんて噂もあった時代ですが(笑)、その時の人事の責任者が「そうか頑張ってください。でもアフラックもすごくいい会社ですし、あなたに来てもらいたいと思っています」と言ってくれました。まさか応援してもらえるとは思っていなかったので、すごく感動したのを覚えています。最初の配属先はIT(情報技術)部門でした。文系出身なのに「なぜITなんだろう」と感じながらも、専門性を身に付けられるのはありがたいことだと思いました。
――そのIT部門で課長に昇格しました。
田中 はい。2007年1月にシステム開発部の課長に昇格しました。当時は仕事が面白くて仕方がなかった頃です。毎日夜遅くまで働き、新しいWebシステムを構築する仕事をしていました。
課長になる予兆など全くなかったので、すごく驚きましたが、実は入社して2カ月目から「課長になりたい」と思っていました。入社直後の新人研修の休み時間に、IT部門に配属される同期6人で「将来何になりたい?」という話をしたことがあるんです。6人中男性が4人で女性は2人でしたが、男性は全員「社長になりたい」という答え。私は何になりたいかなんて考えたこともなく、「課長」と答えました。当時、一番身近に感じていた役職が課長だったからです。すると同期の男性が「なれるわけない」と言うんです。それがすごく悔しくて。「絶対、課長になりたい」とその時に思いました。