全社のCX向上とアジャイル型の働き方を推進

――子どもが6年生まで時短勤務は続けたのですか。

田中 いえ。子どもが成長すると自分でできることが増えていくのが分かったので、6歳になる手前の2018年1月に時短勤務をやめて、調査役から課長職に戻り、その半年後にお客様サービス推進部の部長に昇格しました。お客様サービス推進部では、CX(カスタマー・エクスペリエンス=顧客体験)向上を推進し、CXの測定指標の一つであるNPS(ネット・プロモーター・スコア)を全社で導入しました。

 2020年には、「NTTコム オンライン NPS®ベンチマーク調査」で、アフラックが生命保険部門の第1位に選ばれました。この受賞により、米国持ち株会社のCEO(最高経営責任者)からお祝いのメッセージが届き、社内のNPSへの関心が高まりました。CX向上を自分のライフワークにしようと思っていただけに、本当にうれしかったです。

――2020年8月からは、アジャイル推進室長として、アジャイル型の働き方を推進しています。アジャイルは、もともと、短期間の開発を繰り返すシステム開発手法の一種ですが、働き方改革としてのアジャイル推進は、日本ではめずらしいですね。

田中 アジャイル型の働き方は、変化の激しい時代に柔軟かつスピーディーにお客様へ価値を提供していくためのアフラック独自の取り組みです。お客様のニーズを満たす最小単位の価値を短期間のサイクルで創出し、お客様からのフィードバックを得ながら継続して改善していくというものです。

 アジャイル型の働き方を経験した社員は成長とやりがいを感じ、所属する組織と自身の仕事に熱意を持って、自律的に貢献しようとする意欲が向上することが分かっています。アフラックで働くことにやりがいを感じ、アフラックを好きな社員が増えれば、その社員がお客様に素晴らしいCXを創出し、アフラックを推奨するお客様が増える――という好循環が生まれます。アジャイルとCXは、両輪の関係にあると思っています。

――2022年1月に執行役員(アジャイル推進室・お客様サービス推進部担当)に就任しました。何を期待されて執行役員に指名されたと思いますか。

田中 自分がやりたいと思ったことは、熱い思いを伝えながらみんなを巻き込んで実行していく――それが自分の強みだと思っています。そこを期待されているのではないでしょうか。まずは、日本での創業50周年にあたる2024年に向けて、アジャイル型の働き方をアフラックの「企業文化」にしていくこと。それがゴールです。

 社長(代表取締役社長の古出眞敏氏)から内示を受けた時、「本当にいいんですか」と聞きました。今まで当たり前とされてきた役員の働き方を求められても、私にはできないからです。「子どもを優先することは変えません」と伝えたところ、社長は「それを当たり前にしていきたい。大丈夫だ」と言ってくれました。

アジャイル型の働き方を推進するための拠点である「Aflac Agile Base」で打ち合わせをする田中さん。「Aflac Agile Base」にはすぐにプレゼンができる設備や、壁掛け型のホワイトボードなどが用意されている
アジャイル型の働き方を推進するための拠点である「Aflac Agile Base」で打ち合わせをする田中さん。「Aflac Agile Base」にはすぐにプレゼンができる設備や、壁掛け型のホワイトボードなどが用意されている