個人の多様な能力を引き出す

羽生 リーダーシップの変革には、建設業界でも取り組まれていると思います。建設業界の女性活躍推進は苦労する点が多いと思いますが、大林組の蓮輪さん、いかがですか?

大林組 代表取締役社長 蓮輪賢治さん(以下、蓮輪) 建設産業はエンジニアの割合が高く、出身母体は大学の工学部です。内閣府の男女共同参画白書によりますと、工学系の女子学生の割合が、ほかの理科系の学部と比較しても低い。そして、これは私の印象ですが、工学系の中でも、建設系、いわゆる建築や土木分野に進む女性は非常に少ないようです。このため、女性のエンジニアの絶対数が足りません。建設業界の女性活躍・ダイバーシティがなかなか進まない背景には、こうした課題があります。

「工学系の中でも、建設系、いわゆる建築や土木分野に進む女性は非常に少ないという印象だ」(蓮輪さん)
「工学系の中でも、建設系、いわゆる建築や土木分野に進む女性は非常に少ないという印象だ」(蓮輪さん)

蓮輪 私は、社員一人ひとりが豊かさを実感できる企業グループを目指したい。そのために男女問わず、個人の多様な視点や考え方を受容して、能力を引き出せるような企業文化をつくることが大事だと思っています。

 企業の成長と存続の原動力は、まさに人です。私は普段から、自分のためのオフの時間をつくり出す喜びを感じてほしい、そして仕事も働きがいを感じられる時間にしてほしい、と言っています。現場などで過去から続いてきた「縦社会」の文化を変えて、フラットな組織にすることも必要です。企業文化や人事制度を変革しなければ、グループとしての成長はないと考えています。

 こうした観点から、弊社ではアンコンシャス・バイアス研修を実施しています。潜在的に「女性は補助的な仕事」という意識があるならば、変えていかなくてはならない。管理職にはイクボス研修、女性にはセルフリーダーシップ研修を受けてもらっています。

羽生 現状では女性の絶対数が少ないという課題はありますが、こうした取り組みを続けていれば、中途採用などで女性が増えていくことも期待できそうですね。

 【2】メンター制度で真剣勝負 社長が語るDEI推進の裏側に続きます。

構成/久保田智美(日経xwoman編集部) 写真/鈴木愛子