人気のない役員になってしまうと…

羽生 ダイバーシティ推進においてはアフラックも長い歴史をお持ちですね。

アフラック生命保険 代表取締役社長 古出眞敏さん(以下、古出) ダイバーシティで重要なことは2つあると思っています。一つは、トップマネジメント層のコミットメント。経営層がまず自分で腹落ちし、建前でなく本気を示さなくてはいけない。ではトップマネジメント層の一人ひとりの本気をどう引き出すのかというと、「これは経営戦略なのだ」という価値観を共有すること。加えて、仕組みづくりです。

「多様性推進に向けて、トップマネジメント層の一人ひとりの本気を引き出すことが大切」(古出さん)
「多様性推進に向けて、トップマネジメント層の一人ひとりの本気を引き出すことが大切」(古出さん)

古出 アフラックでは役員の評価に、ダイバーシティ推進の目標達成度を入れています。会社全体の達成度も評価基準に入れていて、自分の部門だけが目標を達成しても、全社が達成できていなければ高く評価されません。これにより、他部門との連携が生まれます。例えば女性管理職が少ない部門があった場合、多い部門から候補者を異動させようか、などというコミュニケーションが生まれます。

 本気度を示すという意味では、役員によるメンタリングも行っています。現在、メンター役の役員が27人、部長が51人。メンティーは管理職と、管理職一歩手前の人たち139人で、1人当たり2人のメンティーをみている形です。

 実はこれ、役員にとっては真剣勝負なんです。メンタリングは応募形式なので、社員から人気のない役員になってしまうと、メンティーからの応募がなくなってしまう(笑)。私も、応募があるのかどうか毎回ドキドキしています。

羽生 やっぱり社長は1番人気なんですか?

古出 いえ、そう言われたことはないので、違うと思います(笑)。また、メンタリングの過程で、役員も自分の人間性をさらけ出すことになるので、しっかりとした人物でなければ社員から尊敬されなくなってしまう。私の場合は月1回、1on1で1時間話をしますが、汗をかきながらやっています。

 弊社では働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)をはじめとした業務改革も進めていますが、これらは新しい価値観や挑戦意欲を持った女性の人材がいたから実現できました。ダイバーシティ推進が、新しい取り組みのドライバーになったと実感しています。

羽生 SDGsにおいても、ジェンダー平等は17の目標の一つではなく、すべての目標を達成するためのベースだといわれます。ダイバーシティがあらゆる変革の土台になったというお話、納得しました。