「女性は細やかな気配りができる」は本当か

―― 職場においては、「女性は細やかな気配りができるから○○の仕事に」「女性ならではの感性を生かして□□の仕事を」といった表現も聞かれます。女性が昇進する分野は「4R」(PR、IR、HR、CSR)が多いという指摘もあります。

四本 確かに、実際、家事育児を担っている人の多くは女性であり、当事者でないと気づかない点、経験者でないと持てない視点はあるでしょう。それを「細やかな気配り」「女性ならではの感性」と表現しているのかもしれません。

東京大学大学院総合文化研究科 准教授 四本裕子さん

四本 ただ、問題は、その役割に性別による偏りがあり、それは社会構造がもたらした偏りであるということです。

―― 女性が全員、生まれつき気配り上手で感性豊かとは限らず、後天的に習得している可能性もあるということですね。

四本 そうですね。「女性だからこう」という発想のままでは、いつまでたっても女性は限られた職域から出ることができません。能力のある人に適切なチャンスを与えられていないのだとすれば、それは企業にとって損失です。仕事を割り振る際は、性別よりも幅広い個人差を見て、適性を見極めてアサインするべきではないでしょうか。

 男も女も同じように働け、と言いたいのではありません。男女問わず、就職して働きたい人もいれば、家庭内の労働を好む人もいます。家族で話し合って、専業主婦(主夫)という分業スタイルが最善だと判断したなら、その選択は尊重されるべきです。望んだオプションを選べる機会が、男女に等しく与えられる社会になればいいなと思っています。

取材・文/久保田智美(日経xwoman編集部) 写真/鈴木愛子

【参考文献】
*Coutrot A, et al. “Global Determinants of Navigation Ability” 2018;Current biology: CB 28(17).