一人ひとりが違うことによって不均衡があってはいけない
向井 当社では社員のダイバーシティを尊重すること、そして誰もが個性とその能力を発揮し、協働できるインクルージョンがある職場環境をつくってきました。さらに20年から「一人ひとりが違うということで、不均衡があってはならない。誰もが平等な機会を得られるようにしなければいけない」というエクイティ(公平性)を取り入れ、グローバルで推進しています。

羽生 エクイティは日本語に訳すと「公平」「公正」ですよね。仕事の場で「公平」「公正」とはどういうことでしょうか。
向井 分かりやすい取り組みとして当社では、イントラネットに載せる記事、ビデオを含む社長からのメッセージなどは必ず日本語・英語の両方で表記しています。オンライン研修やセミナーでは手話通訳を入れ、聴覚障がいのある人には字幕機能を使って参加していただきます。誰もが公平にそれぞれの能力を発揮するための環境を提供するという考え方です。

向井 また、メットライフ米国本社では、2030年までを目標とした、DEIに関する具体的なコミットメントも発表しています。当社の事業戦略と国連のSDGs(持続可能な開発目標)に連動して、メットライフ全体で25億ドルの投資を公約。地域社会、女性、高齢者、子どもたち、さらに障がいのある方へのサポートや研究支援などを掲げています。なかでも「地域社会」に向けて日本独自の取り組みとして、日本財団とメットライフ財団が共同で「高齢者・子どもの豊かな居場所プログラム」を開始しています。当社の社員もボランティアとして参加し、豊かな地域づくりに貢献していきます。
さらに当社では「個々の特性も能力の一つ」として考え、長崎と東京に、障がいのある方が社員として、オフィスワークに必要な知識やスキルを学べるトレーニングセンター「メットライフ生命アカデミー・ブリッジ」もつくっています。去年は19人の参加者のうち、他社に就職された方もいますが、7人が当社に就職しました。