2022年9月16日に行われた「ジェンダーギャップ会議」のパネルディスカッション「グローバル企業が考える『人への投資』とは」。パネリストには、日本コカ・コーラ広報・渉外&サスティナビリティー推進本部 副社長の田中美代子さん、メットライフ生命保険 執行役 チーフヒューマンリソーシズオフィサーの向井麗子さんを迎え、日経xwoman客員研究員・羽生祥子がコーディネーターを務めました。下編では女性リーダーの育成、男女間の賃金格差の解消などに対する取り組みを聞きました。

(上)日本コカ・コーラ 女性管理職約40%、2つの策が奏功
(下)メットライフ生命 参加女性3割が役員に昇進した研修も ←今回はココ

企業にはびこる「無意識のバイアス」とは

写真右から、日本コカ・コーラ広報・渉外&サスティナビリティー推進本部 副社長の田中美代子さん、メットライフ生命保険 執行役 チーフヒューマンリソーシズオフィサーの向井麗子さん。左端はコーディネーターの日経xwoman客員研究員 羽生祥子
写真右から、日本コカ・コーラ広報・渉外&サスティナビリティー推進本部 副社長の田中美代子さん、メットライフ生命保険 執行役 チーフヒューマンリソーシズオフィサーの向井麗子さん。左端はコーディネーターの日経xwoman客員研究員 羽生祥子

日経xwoman客員研究員 羽生祥子(以下、羽生) 今後、企業には人的資本に対する情報開示が求められます。11の領域がありますが、おもに「人にかけるコスト」「多様性」「リーダーシップ」という3つの柱に注目しています。その中でも「多様性」を究め、より多くの女性にリーダーシップを取ってもらいたいですね。

日本コカ・コーラ広報・渉外&サスティナビリティー推進本部 副社長 田中美代子さん(以下、田中) 当社では「無意識のバイアスをなくす」ことに取り組んでいます。「採用の面接官に女性を入れる」といった取り組みに加え、育児休暇制度の見直しも行いました。実はこれまで勤続1年に満たないと育児休暇が取得できませんでした。「育児休暇を取るならば、最低1年ぐらい会社に貢献してから」という思い込み、無意識のバイアスがあったんですね。

羽生 皆さん口には出さないけれど、どこの企業にもある思い込みでしょうね。

田中 でも、法律で決まっているわけでもないんですよね。現在は入社年月日にかかわらず、誰でも育児休暇が取得できます。当然ですが男性も取得でき、育児休業取得率は100%を達成しています。

 それから、女性社員の育成に関してはいくつかの取り組みを行っています。1つ目は「キャリアに対するマインドセット」。日系企業で仕事をしていると、ジョブローテーション制度のある方が多いのではないでしょうか。本人の意思にかかわらず「一定期間を経たら、会社が自動的に配置転換をする」のではないかと。

 しかし、当社ではスキルに特化した職種別採用で、キャリアの主体性は社員個人に委ねられています。人事や上司にキャリアを決めてもらうのではなく、自分で考えて、自分で決める。どんなスキルや経験が必要なのかも考える。自分で手を挙げて、自分でつかみ取る。ただこれは「言うは易(やす)く、行うは難し」で、「キャリア月間」や「インクルージョン月間」という強化月間を設けて推進しています。

本日開催! 日経SDGsフェス ジェンダーギャップ会議
12月9日(金)午前9時45分~

「女性リーダー育成を止めない、ダイバーシティ経営の本気」