私たち日本国民の公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)。合計約170兆円もの額を動かす巨大な機関投資家だが、100年というロングタームを視野に入れた「超長期投資家」でもある。持続可能な社会を目指すESG投資は、企業経営者にとって“選ばれる企業”になるための重要なキーワードになってきた。2017年からスタートしたESG投資では「女性活躍指数(WIN指数)」を採用しており、ジェンダー平等経営が重要視される中、急速に注目されている指数の一つだ。GPIF投資戦略部・塩村賢史次長にWIN指数採用の狙いと背景を聞いた。シリーズの第2回は、WIN指数の構造を学ぶ。
第1回 GPIFがESG投資「女性活躍指数」を採用した理由
第2回 GPIF採用の女性活躍指数、5つの評価項目とは? ←今回はココ
日経xwoman編集委員・羽生祥子(以下、――) E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)という3つの視点からESG投資を実践しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)ですが、女性活躍指数は中長期的に投資利益を見込める戦略として採用しているとのこと。では具体的に、ESG投資の「S(社会)」における投資方針や、指数採用の理由を教えてもらえますか?
GPIF投資戦略部次長・塩村賢史(以下、塩村) 日本の社会において「女性の活躍」というのは非常に大きな社会的課題になっていることは間違いありません。グローバルな視点でも、多様性に富んだ組織の強さは前回の話「GPIFがESG投資『女性活躍指数』を採用した理由」でも羽生さんが話していた通り、長期的・持続的な成長を考える上では重要だという共通認識が広がりつつあると思います。そういう観点で、指数を提供する金融サービス会社であるMSCIが提案してきた女性活躍指数(愛称:WIN指数)というものを、われわれGPIFは採用したわけです。
GPIFが採用した女性活躍に関する5つの評価項目とは?
塩村 この指数は具体的に何がよかったかというと、女性活躍に関する評価の項目が定量で5項目ありまして、比較的多面的な評価をしていると思ったからです。
―― その5項目とは何でしょうか?