―― 情報開示の部分、つまりディスクロージャーの実態はどのようにスコアに反映されるのでしょうか。

塩村 女性活躍推進法では5項目すべてを開示することを義務化しているわけではありませんので、「うちの会社は取締役に女性がいないから開示するのはやめよう。よい数字だけ開示して平均点を高めよう」という企業があってもおかしくはありません。そのような場合は、割引減額(ディスカウント)があり、スコアが低くなるのです。


WIN 指数の評価方法
ディスクロージャー


開示指標数(5項目のうち)
1項目開示→20%減額ペナルティー
2項目開示→15%減額ペナルティー
3項目開示→10%減額ペナルティー
4項目開示→5%減額ペナルティー
5項目開示→減額ペナルティーなし


(GPIF資料『GPIFのESG投資~女性活躍指数を中心に~』より日経xwoman編集部作成)

―― なるほど。よい数字だけ出しても5項目とも開示しなければ結果的に点数は高くならない。逆に、どこかの項目が低い会社であっても積極的に情報開示をすることで、高い点数になるという仕組みですね。

塩村 都合の悪い数字を隠すのではなく、情報を出してもらう。そこが重要だと思っているのです。

―― 日本の企業全体を見てみると、時価総額で上位700社のうち51%の企業が全5指標を開示しています(2020年10月時点)。一方で、19%の企業は「取締役会における女性比率」という単一の指標だけの開示にとどまっているのが実態です。

塩村 開示率は年々上がっていますが、さらに開示を促していくためのこの仕組みをわれわれGPIFは高く評価しているのです。

―― WIN指数がどのような評価基準で企業を選別しているのかがよく分かりました。次回は、このWIN指数の投資実績や、グローバルと比較したときの分析について聞いていきます。

取材・文/羽生祥子(日経xwoman編集委員)、写真/GPIF提供