日本の女性活用の現状は「国家損失」でしかない
―― 立ち上げ準備の2018年当時は、既にSDGsやESGが企業経営の根幹に関わるのだという機運が、企業から感じられたということでしょうか?
只松 そうした機運が高まってもいましたし、企業側も、対応せざるを得ない状況であると感じ始めていたように思います。日本だけの話ではなく、海外から日本企業への投資を促すためにも、それらへの対応は企業にとって不可欠です。
そもそも、私の中の課題意識として、国としての日本の持続可能性について、大きな危機感がありました。例えば、日本の女性が世界的に見ても高い学力を持っていながら、そのポテンシャルを十分に活用できないのは、国家にとって大きな損失です。今の状態に変革を起こし、確実に浸透させていくためには、一時的な取り組みではなく、持続可能な仕組みを創り上げていくことが必要になります。
―― 30%クラブは「今まで日本にあった取り組みとは違う」と確信した、とのことでした。何が違ったのでしょう?
只松 日本の社会で、多様性を効果的に進めるにはどうすればいいか。特に重要なのは、「産業界」「政治」「地方」の変革です。その3つの中でそれぞれ一番重要なのは、大きな権力を持つ意思決定機関の多様性です。
今まであった、いわゆる「女性活躍の取り組み」と30%クラブは一線を画しています。30%クラブはジェンダーの問題に多大な影響力を持つ人と組織を有機的につなぐことで、新しいコラボレーションを可能にし、効果的、効率的、網羅的に、ジェンダーの課題を解決する仕組みです。
―― 効果的に変革を起こすため、30%クラブは大手の上場企業社長や会長にターゲットを絞っているのですね。