2019年5月1日に日本での活動を開始した「30%クラブ・ジャパン」。現在は、資生堂社長兼CEOの魚谷雅彦さんなど58人(2020年9月30日現在)の企業トップが集まり、活動しています。創設者の只松美智子さんは「30%は社会を変えるための、クリティカルマス(普及のための分岐点)を意味している」と言います。

コレクティブ・インパクトを生み出す30%クラブ

「30%という数字は、クリティカルマスを意味しています」(「30%クラブ・ジャパン」創設者・只松美智子さん)

日経xwoman総編集長 羽生祥子(以下、――) 30%クラブ・ジャパンの活動は、2020年5月で満1年になりました。手ごたえはいかがでしょうか?

只松美智子さん(以下、只松) 30%クラブの「統合的アプローチ」は当初思っていたよりもはるかに効果が高いことを実感しました。「統合的アプローチ」とは、ジェンダーの課題を解決するために社会のさまざまな重要ステークホルダー(利害関係者)が協業するアプローチのことを指します。

 30%クラブでは、企業、金融機関(特に機関投資家)、メディア、大学、政府、コンサルティングファーム、エグゼクティブサーチファームなど、ジェンダー課題を解決するための重要なステークホルダーが同じ目標を掲げ、個別に施策を実行するのではなく、協業して問題を効率的に解決していくというアプローチを取っています。このアプローチは「コレクティブ(集合的)・インパクト」を生み出します。

―― コレクティブ・インパクト。最近耳にする言葉ですが、もう少し詳しく教えてください。

只松 コレクティブ・インパクトは、大規模な社会変革や、複雑な社会課題を解決するために大変有効であるとして、近年特に注目されています。

 長年解決できていない社会課題の多くは、一つのステークホルダーによって引き起こされているのではなく、幅広いセクターのステークホルダーによって引き起こされています。そのため、それぞれの課題が複雑に絡みあっており、また、それぞれのシステムに深く浸透してしまっていて、解決が大変難しくなっています。

 このように根深く、解決が難しい問題に対して、幅広いセクターのステークホルダーが共通のアジェンダ(議題)を掲げ、共通の目標と測定手法を用いて相互に補強し合う、ある意味、バーチャルな組織として協働する。これがコレクティブ・インパクトを創造し、課題を効果的に解決することが可能になります。

 ジェンダーの問題はまさに長年解決できていない複雑な社会課題であり、このコレクティブ・インパクトのアプローチが大変効果的です。2010年に30%クラブが英国で創設されたときはコレクティブ・インパクトという言葉はなかったと思いますが、30%クラブはまさにコレクティブ・インパクトを生み出す仕組みであり、だからこそ、多くの展開国で実績を残しているのだと思います。