152カ国にネットワークを持つ世界最大級のプロフェッショナルサービスファームPwCでは、ウェルビーイングな働き方の実現に取り組んでいます。そこで、PwC Japanグループで働く2人の女性にライフとワークのバランスが取れたハッピーな働き方のコツを、さらに、そうした働き方の実現に取り組む担当者に同グループの人事制度やカルチャーについて話を聞きました。
「自分にしかできないこと」に向き合えば仕事も子育てもハッピーに

PwCあらた有限責任監査法人 ディレクター
新卒であらた監査法人(現・PwCあらた)に入所し、事業会社の日本・米国・IFRSでの会計監査や内部統制監査などに携わる。2010年より2年間、PwCオーストラリア(メルボルン)に出向し、現地企業の会計監査、日系企業向けの会計・税務に関するアドバイザリー業務に従事。19年より、監査のデジタルトランスフォーメーションの推進も担う。公認会計士
── 岩本さんは新卒でPwCあらたに入社されています。そのきっかけと、これまでのキャリアを教えてください。
岩本展枝さん(以下、岩本) 大学時代から、海外で働きたいと思っていました。「ビジネスの世界でグローバルに活躍するには英語、会計、ITという3つの共通言語を習得すると良い」と聞いたことから、在学中に会計士の資格を取得。アカウンティングファームの中でもグローバルでの認知度が高いPwCのメンバーファームであるPwCあらたへの入社を決めました。
入社後、製造、IT、エンタテインメントなどさまざまな業種の会計監査の経験を積み重ねてきました。企業が作成した財務諸表の適正性に対して、第三者の保証を与える仕事です。ビジネスへの深い理解や、内部統制、ガバナンスの仕組みを評価する力も培われました。5年目には希望がかない、PwCオーストラリアへの出向の機会を得ました。
── キャリアを築きながらも、意識していたことはありますか。
岩本 結婚や子育ても夢だったので、前倒しでキャリアを積みたいと考えていました。入所時から海外勤務やIPO支援、アドバイザリー業務など幅広く業務経験の希望を周囲に発信し続けていたこともあり、次々とチャンスを与えてもらえました。
PwCには「こうなりたい」「こんな仕事がしたい」と伝えると、その夢を実現できるよう周囲の人がサポートを惜しまない“Speak Up”のカルチャーが根付いています。
── 子育てと仕事を両立されています。
岩本 はい。管理職になってから出産し、現在小3と5歳の女の子がいます。オーストラリアでプライベートを大事にしながら活躍している女性リーダーの姿を見ていたので不安はありませんでした。そこでは、性別や職階、年齢に関係なくお互いをリスペクトしながら、力を合わせてチームを作っていました。誰もが自分のスタイルを大事にし、それを互いに尊重する働き方に出合い、ステキだなと実感したのです。そのおかげで、「自分の思いを大切にしながら、やるべきことを1つずつ全うすればいい」と思えるようになりました。
── 出産後、働き方は変化しましたか。
岩本 私の場合は時短勤務制度などは利用せず、これまで通りの働き方を希望しました。上司にそのように伝えたところ、出張も含めさまざまな仕事をアサインしてくれました。さまざまな制度が充実している一方で、一人ひとりの事情に合わせて柔軟に対応してくれるのがPwCのカルチャーです。海外勤務経験者も多く、多様な価値観をオープンに受け入れてくれる人が多いことにも助けられました。
そうはいっても、「人に任せるのは気が引ける」と感じる人は多いと思います。私も、出産前はそうでした。しかし1人目を出産して復帰した後、子育て中の男性の同僚が「子どもが発熱して早退したいから、代わりにミーティングに出てほしい」と、SOSを出してくれるようになったのです。頼ってもらえたことで「そうか、お互い様なんだ」と思えて、ホッとしました。
── ウェルビーイングな働き方のために意識していることは?
岩本 仕事でも子育てでも、どんな思いで向き合うかでハッピーかどうかが決まります。自分がやりたいことや自分にしかできないことは何かを考え、それを1つずつかなえていくことが重要です。そのための時間と心の余裕が持てるように心がけています。自分がすでにできることは、周囲の人に任せる。新しい学びと挑戦を続け「自分にしかできないこと」に注力することが自身のウェルビーイング、ハッピーに繋がっています。