[デリケートゾーンのトラブル]「あらわれてから対処」は遅い!?

出典:アドバンスト・メディカル・ケア。2021年5〜6月に吉形さんの研究にてアンケート調査した結果。「デリケートゾーン周りの悩みは、未閉経と閉経後では女性ホルモンの分泌量の変化により悩みも異なります」と吉形さん
出典:アドバンスト・メディカル・ケア。2021年5〜6月に吉形さんの研究にてアンケート調査した結果。「デリケートゾーン周りの悩みは、未閉経と閉経後では女性ホルモンの分泌量の変化により悩みも異なります」と吉形さん

中村 年を重ねていくと、デリケートゾーンの乾燥を気にする人が多いようですが、やはりホルモンの分泌量の変化によるものなのでしょうか?

吉形 その通りで、ホルモンの分泌量に関わりがあると考えられます。また、年齢に関係なく、例えば生理中はエストロゲンの分泌量が減るために、乾燥しやすくなります。ナプキンとの摩擦によるトラブルもありますが、肌自体が敏感な時期です。また、産後の授乳期も閉経後と似たような状況になります。加齢以外にも女性ホルモン量の増減でデリケートゾーンが影響を受けやすくなるんです。

中村 確かに、若くても乾燥が気になることがありますね。ということは、閉経後のデリケートゾーンは慢性的に乾燥しているということでしょうか。

吉形 はい、放っておくとデリケートゾーンに出血を伴う場合もあり、歩くのも辛いという方もいます。さらに、頻尿や尿漏れといった泌尿器の症状も出てきます。排尿トラブルは骨盤底筋の影響もありますが、特に頻尿や膀胱炎症状は、女性ホルモン低下による腟の乾燥や乳酸菌の減少などによってお尻周りの雑菌が入りやすくなったことも原因の1つと考えられます。

中村 頻尿の原因が乾燥した腟にあるのだとしたら、頻尿が気になって泌尿器科に行くだけでは解決しないかもしれませんね。

吉形 これから浸透してくると思いますが、GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)という、閉経後に起こるいろいろな症状をすべて一括りにした概念がようやく2015年に海外の学術会議で定められ、数年前から日本でも注目されるようになりました。更年期で排尿トラブルに悩む人は婦人科も受診したほうがいいですね。

私が最近気になっているのは、尿漏れが気になるなら吸水パッドを使うという風潮があること。そもそも更年期に差し掛かる前に、将来、吸水パッドを使わなくていいようにケアを始めることが大切だと思います。

中村 すごく分かります。店頭でも吸水パッドの種類が増えて、若い人も恥ずかしがらずに使いましょう、という雰囲気がありますね。吸水パッドを使わないようなケアをしていくことが大切、というお話は目からウロコです。

吉形 はい。同様に、閉経後、デリケートゾーンにかゆみや痛みの症状が出ている人も正しいケアで改善できるかもしれません。

中村 デリケートゾーンのかゆみや痛みは病院へ行くほどでもない、と感じている人も少なくないようですが、考え方を改めるときかもしれないですね。