一青窈さんが「6分」に込めた想いとは?

木佐彩子さん(以下、木佐) お疲れ様でした! とても素敵なライブでした。
一青窈さん(以下、一青) 今日は、「もらい泣き」も新たなアレンジでしたし、これまでの曲がまたキラキラ輝いた感じがしました。
木佐 今回、ライブの中でも歌われた「6分」は、どんな想いで歌詞を書かれたのですか?
一青 実際にPAH患者さんとお話する機会をいただいたときに、「息苦しい」「めまいがする」と訴えても、家族からもなかなか理解が得られないとお聞きしました。自分の病がどう進行し、どう治療するかもわからない中で、それはとても孤独だろうなと思いました。だからせめて、音楽がそばにいて心強い存在になれればと……。
木佐 確かに音楽を聞くだけで、元気をもらえるということはありますよね。
一青 「6分」にしたのは、「6分間歩行検査」のことを聞いたからです。PAH患者さんが6分間を一人で歩くのは、長くつらいものだろうなと想像しました。そこを並走して応援するような歌を作りたいと思い、「僕の6分をあげる」という歌詞を入れました。
木佐 実は、私はPAHのことを、今回初めて知ったんです。息切れやめまいという症状は年齢を重ねればよくあることですから、気づきにくいというのはよくわかります。
一青 「もしかしたら……」という選択肢の中にPAHも入っていたら、早期発見につながる。「6分」を聴いてPAHを初めて知ったという方もいるので、この曲によってもっと多くの人にPAHのことが広まるといいなと思っています。
その「息切れ」に要注意。まずはPAHを知ることから
*平成22年度は東日本大震災の影響により、宮城県および福島県が含まれていません。
*難病情報センターホームページ https://www.nanbyou.or.jp/entry/5354(2021年5月閲覧)より作成
肺動脈性肺高血圧症とも呼ばれるPAH。“高血圧”とついていますが、よく聞く高血圧とは異なり、肺と心臓がかかわる難病で、命にかかわることもあります。
現在の国内の患者数は約3900人(※1)。近年増加傾向にあります。年齢層は10代から80代と幅広く、女性に多いことが特徴です(※3)。症状が特徴的ではなく、病気の存在が知られていないため、潜在患者も1万人以上いるといわれています。
・坂道や階段を上るとき、途中で休まないと上れない
・買い物の時などに、重い荷物を持って歩くと息苦しくなってしまう
・掃除などの家事をすると、息が切れてしまう

https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/10/JCS2017_fukuda_h.pdf
PAHは、最初は症状がないか軽度なため気づきにくいのですが、病気が進行すると、軽い運動でも息苦しさや疲れやすさを自覚するようになります。さらに進行すると、安静にしていても症状があらわれ、意識がなくなったり、心不全を起こしてしまうこともあります。
当たり前にできていた日常の行動や活動さえもあきらめざるを得なくなってしまうPAHという病。その存在を知っていれば、早めに治療を始めることができます。
難病情報センターホームページ http://www.nanbyou.or.jp/entry/171(2019年3月閲覧)