「女性4割」の目的は「多様性」だと理解しているのか?

 ボードメンバーに女性を増やそうという姿勢は、今や世界中で政府や企業が重要視するテーマ。文科省からの指示で嫌々取り組むものではない。森氏をはじめ、その会議室で笑って同調したメンバーたちは、そもそもなぜ女性を意思決定層に入れなければならないかという、本来の目的を理解しているのか?

 この騒動が起こっているまさにそのとき、私は「日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト」という、企業の多様性を促進する勉強会を開催していた。そこには日本をけん引する先進企業の社長ら10名が早朝からオンラインで集まり、女性役員比率を高める難しさや女性の昇進と組織風土の変革などを本気で話し合っていた。そこで出たキーワードの一つに、「MUSTからWANTへ」がある。つまり、数値ありきで「3割、4割にすべき」ではなく、「3割、4割に増やしていきたい」という希望やチャレンジが重要だと話し合っていたのだ。

 ジェンダー平等の意識が低い低いと言われ続けている日本。特に足を引っ張っているのは政治だ。いつまでたっても変われない組織に、新たな視点を注ぐことができるかどうかの瀬戸際ではないか。権力を握る男性の言動がおかしいなと思っても、会議室で笑ってごまかすしかないとは情けない。同じチームであっても「その発言はおかしいです」と勇気を出して発言することが多様性であり、形だけの謝罪ではなく本人がしかるべき責任を取ることも、多様性への一歩である

文/日経xwoman編集委員・羽生祥子