「高齢者の自立を促す介護保険のカタチを整えたい」「シングルマザーや子育て世代が安心して働ける社会にしたい」──自身が直面した課題をきっかけに、政治の道を志したのが、姉妹である土方りささんと竹内さやさんです。身近な問題の解決こそが、日本を変える糸口になる。そう考える2人が政治家への扉として選んだのは日本維新の会でした。同党の藤田文武幹事長とともに、これまでのキャリアとそこで感じた課題、目指す地方と国のあり方について語ります。
「政治経験ゼロ。でも社会を変えたい」働くママたちの挑戦
── 日本維新の会では、統一地方選挙に向けた「人財発掘プロジェクト」を展開しています。求める候補者像について教えてください。
藤田文武さん(以下、藤田) 目指しているのは、新しい時代に合ったスピード感のある政治です。それには、今の硬直した政治構造を打破し、仕組みからつくり変えていく必要があります。それゆえに会社員や経営者、主婦の方といった民間の感覚を持つ人にこそ手を挙げてほしいと思っています。これまでの経験をもって政治家に“転職”することで、社会を変えていきたいというチャレンジ精神、改革の志のある方を歓迎しています。今日来てもらった竹内さんと土方さんは、まさにその思いを体現する候補者です。

日本維新の会 幹事長/衆議院議員
1980年、大阪府寝屋川市生まれ。筑波大学体育専門学群卒業後、オーストラリア、ニュージーランド留学を経て、スポーツ関連のベンチャー企業へ。役員として経営全般に携わった後、独立起業。スポーツ・健康・医療・介護・福祉・教育・ITの分野で事業を展開。19年4月、衆議院議員補欠選挙当選(1期目)。21年10月、衆議院議員総選挙当選(2期目)。21年11月、日本維新の会幹事長就任
── お二人は、なぜ政治家を目指そうと思ったのですか。
竹内さやさん(以下、竹内) 世の中のために自分も何かできないか、と考えたのが最初のきっかけです。その頃、専業主婦として育児に明け暮れていた私は、どこか社会に取り残されたように感じていました。そこで一念発起して、19年にNPO法人「優愛」を立ち上げました。
優愛は、超高齢化社会の課題解決を目的とした介護福祉事業団体です。高齢者の自立支援のあり方を模索する中で、当時介護保険制度に新設された「総合事業」には大きな期待を寄せていました。総合事業とは、地域が中心となって行う介護予防や日常生活支援サービスのこと。主に要支援者を対象とした、多彩なサービスの創出と拡大を目的として生まれた枠組みです。ところが、いざ始めてみると介護保険の適用が難しく、思い切ったサービス提案ができないなど、課題が山積であることが分かりました。
そんなとき、京都維新の会代表の堀場さちこさん(日本維新の会所属衆議院議員)とお話しする機会があり、相談してみたのです。すると、「それはいつか誰かが、じゃなく、今自分で解決したほうがいいですよ」と。いろいろとアドバイスを聞いているうちに、「介護福祉の問題を解決できるのは政治しかない。ならば挑戦してみよう」と、思い至りました。

日本維新の会 京都維新の会 府政対策委員/NPO法人優愛理事長
95年、京都府生まれ。専門学校を卒業後、京都市内で販売員として勤務し、結婚を機に退職。18年に長女を、22年に次女を出産。社会のためにできることをと19年に介護福祉事業を行うNPO法人優愛を設立。事業を展開する中でさまざまな行政の壁にぶつかり、課題解決のために政治家を目指す
土方りささん(以下、土方) 子育てをしながら働いていると、「おかしいな」と思うことがいくつもあります。例えば、育児支援制度もその1つ。ひとり親世帯と片働き世帯、共働き世帯では、保育園への入れやすさや所得制限も異なります。私はシングルマザーをはじめ、どの立場も経験したことで、それぞれに違う悩みや課題に直面しました。
立場によらず、誰もが子育てしやすく働きやすい社会をつくるにはどうすればいいんだろう。そう考えたとき、今まで遠い存在だと思っていた「政治」が、とても身近に感じられたのです。政治の経験は全くないけれど、自分の体験を語り、同じ悩みを持つ人に寄り添い、そうした生活者の声を行政に届けることはできるかもしれない。その思いを、たまたま家の近くで演説をされていた、やはりシングルマザーの堀場さんにお話しすることで、挑戦してみようという気持ちが固まりました。

日本維新の会 京都維新の会 市政対策委員
90年、京都府生まれ。シングルマザーとして受けた支援制度と、再婚後に受けられる支援制度のギャップに驚き、誰もが子育てしやすく、働きやすい社会の実現を目指して政治の道へ。生活者目線で改革に取り組んでいる。現在は、10歳の長男、9歳の次男、4歳の長女の育児と政治家としてのキャリアを両立させようと奮闘中
藤田 2人の強みは、介護や育児、そして生活者としての経験と視点を有していること。僕も介護事業をやっていたので分かりますが、規制ありきの法整備では現場も回らないし、利用者に満足してもらえるサービスにはつながりません。
また、育児支援や女性の働き方支援についても、政界の大多数を占める男性議員では気づけないことも多い。こうした現状を変えられるのは、政治のプロではなく、民間感覚を持ったアウトサイダーしかいないと考えています。