急激なインフレ進行が「生活を直撃している」という人が増えていますが、焦る必要はありません。大切なのは自分らしい「資産形成」を早くスタートすること。去る4月8日、働く女性を応援する「日経WOMAN」創刊35周年特別記念イベントでは、「お金と自分:賢く投資するコツ」をひも解くセッションを開催。誰にでもできる資産形成のヒントを探ります。
収入を得るだけでなく「お金にも働いてもらう」
セッションのテーマは「“長期投資”と“自己投資”でつかむ私らしい生き方」。さわかみ投信の熊谷幹樹さんと、日経BPライフメディアユニット長の佐藤珠希が登壇しました。

さわかみ投信は、社会に貢献する企業を見極め、よりよい未来に向けて長期投資を行うことで名高い投資信託の会社です。「お金のプロ」を迎えたこのセッションでは、「働き続けるために大事なことは何か」について軽快なトークが繰り広げられました。
佐藤 最近、「お金に働いてもらう」という言葉をよく聞きますが、これはどのようなことなのでしょうか。
熊谷 まず、お金の増やし方には4つの方法があります。1つ目は、「稼ぐ力をつける」。2つ目は、ムダ遣いをやめて「節約をする」。3つ目は、「年齢を重ねても健康にいつまでも長く働く」。そして、4つ目が「お金に働いてもらう」ということです。
日本にも素晴らしい社長さん、経営者が数多くいます。投資でお金を企業に投じて応援するということはつまり、そういった経営者に、自分のお金を活用して代わりに働いてもらうということです。結果的に収益が上がり株価が上がった場合に、自分もそのリターンが得られる。これが「お金に働いてもらう」ということです。
日本では現金・預金が半分以上。投資の割合が低い理由は?
佐藤 グラフ(下図)が示すように、日本では資産を投資信託や株式で持つ人が少なく、現金や預金で持つ人の割合が半分以上と、欧米に比べて多くなっています。それは、なぜだとお考えですか。

熊谷 かつての日本では、資産を現金や預金しておくことが理にかなっていたので、その名残でもあります。例えば、40年ほど前は預貯金の金利も7%ぐらいと極めて高く、会社の給与も年功序列で年々上昇し、年金も十分にもらえるような時代でした。資産を預貯金で持っていれば、安定的な将来設計ができたのです。
しかし、40年の間に社会環境は大きく変化しました。それにも関わらず、多くの人が過去の延長線上に生きており、資産づくりの意識を変えられずにいます。これからはかつてのように順調に年金がもらえる時代ではありません。また、超低金利時代が続く中で急速にインフレが進んでいる今、早急に考え方を変える必要があります。