多様な人材、開く事業

――女性活躍の現状や人材の多様性の意義をどう感じますか。

平井 素子さん
平井 素子さん

平井さん 事業立ち上げのために7年前にタイに赴任し、タイ子会社の社長を4年間務めた。事業立ち上げも駐在もすべてが初めて。そのような中、タイの現地企業との会議にはたいてい女性が出てきて、重要な意思決定をする。ジェンダーギャップやマイナープレッシャーみたいなものを感じずに仕事ができる世界があるのだなと肌で感じた。

 いろいろな国の人々と仕事をしたが、海外では説明を尽くさないと分かってもらえない。シンプルな言葉で説明を何度もする。クロスカルチャー、クロスジェンダーの中で個性をまとめあげて運営する仕事は、本当にいい経験になった。この財産を今の立場でグローバルに生かしたい。

岸 英恵さん
岸 英恵さん

岸さん 入社5年目のとき住宅カンパニーで新規事業をやりたいと手を挙げた。セキスイハイムを提供する会社としてまず在宅介護を手掛けることで、家のあるべき姿が見えてくると考えた。介護現場に飛び込みヘルパーを4年勤めた後に、リフォーム事業に高齢者事業の視点を生かす仕事にも就いた。現在、高齢者事業は年商約30億円で子会社の社長も兼務している。介護サービスは人対人の事業。同じような人ばかりでは様々な顧客のタイプに対応できない。必然的に多様な人材を採用して経営していくことになる。

 子会社の経営が厳しかったとき、事業継続について社内で議論したことがあった。苦しい状況の中、メンバーの顧客第一に基づく一声で「あ、原点回帰すべきだね」と社内が前向きな空気にがらりと変わった。経営が良いときは同質な人の集まりでも問題ないが、悪いときは異なるバックグラウンドを持つ人の集まりの方が耐性がある。今でも鮮明に覚えている。

植松 朋子さん
植松 朋子さん

植松さん 社会インフラなど大型製品を開発する部門のため女性比率は高くはないが、技術の話になると、年齢・性別・上司部下関係なく白熱した議論になることも多く、それができる環境にある。私が入社したころは、理系の女性は研究所での基礎研究に携わることが多かったが、今は人数も増えてどんどん現場に出ていくようになった。工場や施工現場などでさっそうと作業をする頼もしい方が増え、それが珍しくない光景になっている。

「やりたいこと、自由に」

――次世代のリーダーを育てるためにどうされていますか。

古賀 明子さん
古賀 明子さん

古賀さん 広報の仕事では大切な局面で人と関わるため、互いのプロフェッショナルな姿勢が学びの機会になる。また、積水化学グループで「変革塾」と呼ぶ社内塾を2003年度から続け、人材の底上げをしている。就任3年目までの執行役員全員が塾長を務める。塾長は若手のリーダー・管理職クラスを対象にテーマを掲げ、塾生を募る。1年弱指導し、最後は経営トップに対して提言する。

 私の塾のテーマは「女性の底力を経営に活(い)かす方法」。初の女性執行役員としてあえてこのテーマを掲げたところ入塾希望者が多く、関心の裾野が広い。活動の一環として実施した経団連との意見交換会では、次世代育成の取り組みを評価いただいた。社内女性幹部を講師に招くメニューでは、「自分たちもどんどんやっていい」と大きな刺激を受け、挑戦が自分事に。塾生の成長ぶりは感動的で、まるで「成長合戦」だ。今年も多様性を生かすテーマで塾を開講する。

――女性活躍が重要だと感じていることを聞かせてください。

福冨 直子さん
福冨 直子さん

福冨さん 4月に執行役員として法務部長に就いた。その前は監査の実務12年、監査室長を5年務めた。多少ズケズケとモノを言う傾向は女性に多いかもしれないが、仕事の品質に男女は関係ない。ただ、監査される側は事業部長や子会社社長などであり、女性や目下からの指摘に抵抗がある方もいるだろうと感じていた。違った視点を提供すること、現場の改善を後押しする良い監査をして分かりやすくアウトプットすることを心がけてきたことで、違和感のない状況になったと思う。

 ライン長になりたいとは思っていなかったが、実際になると、やりたいことが本当に自由にできる。方針を決め、いろいろな人の協力を得て、様々なことを大きく動かせた。女性に限らず管理職をためらう方は多いが、一度はトライしてほしい。やれることが広がり、コミュニケーションの質も変わる。