髪や肌と同じように、口内も年齢とともに変化し、見た目にも影響を与えます。年代ごとにどんな症状が現れ、どうケアすればいいのか、歯科・口腔(こうくう)の専門家である照山裕子さんに教えてもらいました。

女性は一生を通じて歯周病への意識が必要

女性は歯の見た目ばかりを気にしがちですが、もっと歯茎のケアに目を向けるべき」と話すのは歯学博士の照山裕子さん。「女性は男性以上に、年齢とともに口内が変化します。その背景には女性ホルモンとの関わりがあるためです。歯周病菌には女性ホルモンを好む種類があり、女性ホルモンの分泌が増える思春期や妊娠期に歯周病リスクが高まります。歯茎の状態は気づかないうちに悪化するため、早い段階からのケアが必要です」(照山さん)

照山裕子さん●歯学博士。頭頸部(とうけいぶ)領域の腫瘍や外傷・先天性疾患により失われた組織を美しく機能回復させる『顎顔面補綴(がくがんめんほてつ)』を専攻。口元のアンチエイジングや予防医学の重要性を提唱している
照山裕子さん●歯学博士。頭頸部(とうけいぶ)領域の腫瘍や外傷・先天性疾患により失われた組織を美しく機能回復させる『顎顔面補綴(がくがんめんほてつ)』を専攻。口元のアンチエイジングや予防医学の重要性を提唱している

年代ごとの口内リスク。老け見えの原因にも

女性は生涯、口内がダイナミックに変化すると語る照山さん。実際にどのようなタイミングでリスクが高まるのだろうか。

☑思春期
月経周期に合わせて歯茎に腫れが
月経が始まる「思春期」は、女性ホルモンの分泌量が一気に増える時期。それに伴い月経周期に合わせて歯茎が腫れたり、出血することも。「歯肉炎」という歯周病の入り口に差し掛かっている状態だが、自覚している人は案外少ない。そのまま放置してしまい適切なケアを怠ると口内に歯周病菌が増える要因に。

☑妊娠・出産
口内環境が悪化しやすい時期、歯周病は早産の原因にも
歯周病菌には女性ホルモンを栄養源にするものもあり、分泌量が多い状態が続く妊娠期は歯周病リスクが高まる。同時につわりや体調変化で口腔ケアが疎かになり、口内環境も悪化しがちに。妊娠中に歯周病が進行すると早産の確率も高まるというデータもあるので特に用心を。

☑更年期
歯周病リスクに加え、歯に根元むし歯も
女性ホルモンが急激に減少する更年期は心身のストレスも重なり、口内環境に影響するケースが増加。口内の自浄作用がある唾液も減り、歯周病リスクが高まる。加齢により歯茎が下がり、露出した歯の根元にむし歯ができやすくなる点にも注意を。

こうした口内環境の悪化は歯周病を招き、「老け見え」を早期に引き起こす原因にもなるという。例えば、歯や歯茎に問題が起き、片側で噛むクセがつくと顔のゆがみやほうれい線につながる。歯周病の進行により歯茎が下がると、歯が長く見え、顔の印象ががらりと変わってしまうことも。

「白く美しい歯はもちろんとても重要ですが、それは引き締まった健康な歯茎があってこそ映えるもの。早い段階から歯茎ケアの意識を持っていただきたいですね」(照山さん)