男性社会のイメージが残る建設業界にあって、1980年代から女性総合職を採用し、女性活用を牽引してきたのが大林組だ。同社で存分に活躍中の女性社員4人に、入社時にまず体験する現場での仕事の思い出や、大林組で働く楽しさ、やりがいを語り合ってもらった。参加者のうち3人は子育て真っただ中。大学院博士後期課程履修中で、仕事・大学院・育児の3足の草鞋(わらじ)を履く社員もいる。このような大林組ならではの働きやすさや制度についても話題が広がり、座談会は大いに盛り上がった。
入社1年目で9階建てビルの基礎工事から竣工までの現場を体験
編集部(以下、――) 早速ですが、皆さんはどんなお仕事をなさっていますか?
伊藤美絵さん(以下、伊藤) 私は、一級建築士として建築設計を担当していて、現在は研究施設の設計・施工プロジェクトに携わっています。「コンペ→基本構想→基本設計→実施設計→設計監理→竣工」という一連の流れの中で、今は基本設計のフェーズです。建物に要求されるスペック、やりたいこと・やれないことの整理、デザインの提案を1つ1つ丁寧に行っているところです。
「設計=デザインしたり、図面をひたすら描く」というイメージがあるかもしれませんが、顧客のニーズを把握するために打ち合わせを重ねたり、法的規制の確認、構造・設備、現場など多くの部門との調整を行っています。入社前に考えていた以上に、仕事の中でコミュニケーションも大きな割合を占めていると感じます。
髙橋春那さん(以下、髙橋) 私も伊藤さんと同じ設計本部所属で、一級建築士として建築設計の仕事をしています。これまでに総合病院や大規模ショッピングモール、ホテルの計画・改修、ターミナル駅の改修計画や鉄道系ホテルなど、さまざまな種類や規模の建物に関わってきました。9年間にこれだけ沢山の用途の建築物に携わることができるのは、大手ゼネコンならではだと思います。出身は福岡ですが大学が名古屋だったこともあり、入社直後の現場研修は名古屋支店、そのあと東京に異動になり、22年からはまた名古屋支店に勤務しています。