多彩な建物に関わり、ますます建築や街の創生が好きに

――想像以上に多彩で興味深い内容のお仕事があるのですね。女性の能力を活かせる場面が多いようにも感じます。皆さんは、早くから建設業界を目指していたのでしょうか。

髙橋 祖父は文系出身でしたが、実家を建てる際に自分で設計図をかいて建ててもらったと聞いたのがきっかけです。小3でその話を聞いてがぜん興味が湧き、以来、新聞の折り込みチラシで家やマンションの間取りを見るのが趣味のひとつになりました(笑)。興味関心の入り口は「家」でしたが、高校・大学と建築系のキャリアを考える中で、より多くの人に使ってもらえる場所をつくりたいと考えるようになり、大林組を志望しました。

澁谷 私は小4の家族旅行で訪れたイギリスの大英博物館のグレート・コートに衝撃を受けました。歴史的建造物をガラス天井で接続した開放的な広場があり、古いものを大切にすると同時に、そのまま使うのでなく現代の室内環境に合わせた内装を施した展示空間に圧倒されまして、空間づくりの自由さとリノベーションの多様性に感動しました。以来、自分ひとりではできない大きな規模の建物に関わってみたいと、いろいろな夢を抱いてゼネコンの扉を叩きました。

矢部 そんなお2人の後では発言しにくいのですが、私は高校生までは建築物があまり好きではなかったんです。

全員 え、それは珍しいかも(笑)。

矢部 動物や植物など自然が大好きだったので、高層ビルなどの建築物にあまりいい印象がなく、公務員になって都市計画の仕事に就きたいと考えていました。

でも、もともと省エネにも興味を抱いていたこともあり、人が生きている限り建築物は不可欠。ならば「人にとって快適でかつ環境にも優しい建物をつくれば自然にも社会にも貢献できる」と考えが変わり、建設業界を志望しました。もちろん大学で建築を学んだり、大林組で働くなかでどんどん建築が好きになり、今では私も、話題となった建築物を見に出かけたり雑誌で写真や図面を見たりして楽しんでいます(笑)。

矢部さんが勤務する、東京・清瀬市の技術研究所。洗練されたデザインの建物は、制震技術や省エネなど、大林組の最新技術を取り入れた研究所の中核施設であり、新技術を創造する場でもある
矢部さんが勤務する、東京・清瀬市の技術研究所。洗練されたデザインの建物は、制震技術や省エネなど、大林組の最新技術を取り入れた研究所の中核施設であり、新技術を創造する場でもある