ぶつかった壁がリーダーとしての在り方を教えてくれた

大塚 皆さんはこれまで、どのような壁にぶつかり、それをどのように乗り越えてきましたか?

神宮 壁にはたくさんぶつかって来ましたし、皆さんにわかりやすくお伝えすると、降格も経験しています。小規模のプロジェクトで成果を出し、初めて大きなプロジェクトのリーダーを任されたのですが、責任者として自分一人で背負い過ぎてしまって……。本来ならできたはずの業務まで手が回らなくなるほど、いっぱいいっぱいになってしまい、結果、リーダーの務めを果たし切れませんでした。

一緒に働いてくれたメンバーに申し訳なくて、素直に謝ったところ、今でも涙が出そうになるのですが、誰一人、私を責めることなく、「自分もこうすればよかった」「神宮さん、また頑張りましょう」と励ましてくれました。お陰でもう一度頑張ろう、と前を向くことができましたね。このときにチームはみんなで作るものだと強く実感しました。

小林 私も、売上責任を持ちながらチームをまとめていくプレッシャーでスランプになった経験があります。私の場合は、環境を変える、つまり転職をして解決しました。自分を変える努力を2年間続けましたがうまくいかず、余計に自分を追い詰めてしまったため、思い切って転職をしました。真面目な人ほど「世話になっている会社のために私が頑張らなければ」と思いがちですが、うまくいかないときは環境を変えるのも一手だと思います。

大塚 CHENGさんと豊留さんはプロジェクトマネージャーでいらっしゃいますが、ご苦労や工夫について教えてもらえますか?

CHENG プロジェクトマネージャーとして限られた時間内で成果を出さなければというプレッシャーはありますが、どんなに忙しくても「心に余裕を持つ」ことが大切だと思います。自分が焦るとチーム全員に伝わり、それはパフォーマンスに影響します。その上で、自分の限界を見極めること。限界まで努力した先に、さらに無理な努力を重ねてもうまくいきません。限界を感じたらチームのメンバーに相談して、みんなで乗り越えていいんだと思います。

豊留 私は、上司やメンター、バディーなどにフィードバックをもらうように意識しています。当事者でない人からのフィードバックによって、客観的に物事を見ることができるようになり、自分では意識していなかった要因への気づきや、学びを得ることにつながっています。

Amazonでは計画通りにいかなかったことに関しても振り返りを行い、学びにつなげていくことを大切にする文化があると思います。ビジネスの課題や成果、新しい提案などをドキュメントにまとめてレビューするメカニズムがありまして、その際のドキュメントには誰が書いたものかは記載しません。これにより、すべてのメンバーにとって、公平・公正に評価とフィードバックを受けることができますので、とても貴重な機会として捉えています。

大塚 バイアスを取り払うことこそ、「D&EI(ダイバーシティ、エクイティアンドインクルージョン)のエクイティですね。