私たちが出してしまった廃棄物を次の世代に残さないために

大橋 高レベル放射性廃棄物自体が身近にあるものではないので、なかなか当事者意識を持つのは難しいかもしれませんが、考えていかなくてはならない問題ですよね。

萱野 そうですね。日本は経済発展に伴い、長年、原子力発電を利用してきましたから、すでに多くの高レベル放射性廃棄物が存在しています。処分方法については、原子力発電所が稼働する前からいろいろな方法が検討されてきた結果、地下深くに埋設する「地層処分」が最適であることが世界共通の考え方になっています。

大橋 15年ほど前に、青森県の六ヶ所村の再処理施設に取材で伺ったことがあって……。当時、私はまだ東京に住んでいたのですが、いわば都会で使った電気の廃棄物が、遠く離れた六ヶ所村の施設に保管されていて、ここで暮らしている人たちはどう感じているのだろうと胸を強く打たれた記憶があります。「もっとみんなで考えなければ」と強く思いました。

萱野 私がよく考えるのは世代間の公平性です。今は、少子化の影響で「社会保険料や税金の負担が増えてくるのでは」という不安が、若い世代に広がっていますよね。私自身が人口ボリュームのある団塊ジュニアの世代なので、この先、ボリュームが増える高齢者世代の一員になっていく。だからこそ、これからの若い世代に負担をかけたくないと思っています。特に、自分たちが恩恵を受けてきたことにより出してしまった高レベル放射性廃棄物の処分や、二酸化炭素の排出による温暖化の進行などは、自分たちの世代で解決して、世代間的に不公平だと言われないような状況をつくりたいですね。今の学生は、世代間格差にとても敏感ですから。

大橋 確かにおっしゃるとおりですね。私も、自分の子どもを含め、続く世代に負担を残すのは避けたいです。

<b>高レベル放射性廃棄物の「地層処分」とは?</b><br> 原子力発電に伴い発生する高レベル放射性廃棄物。その処分方法は、私たちの生活に影響が出ないよう、地表から300メートル以上深い安定した岩盤に埋設する「地層処分」が適切であるということが世界共通の考え方です。1999年に取りまとめられた技術報告書(※)では、日本も地層処分に好ましい地質環境が長期的に確保できる場所が広く存在していると考えられることが示されています。<br> ※ 出所:核燃料サイクル開発機構(現・日本原子力研究開発機構)研究開発成果「第2次とりまとめ」
高レベル放射性廃棄物の「地層処分」とは?
原子力発電に伴い発生する高レベル放射性廃棄物。その処分方法は、私たちの生活に影響が出ないよう、地表から300メートル以上深い安定した岩盤に埋設する「地層処分」が適切であるということが世界共通の考え方です。1999年に取りまとめられた技術報告書(※)では、日本も地層処分に好ましい地質環境が長期的に確保できる場所が広く存在していると考えられることが示されています。
※ 出所:核燃料サイクル開発機構(現・日本原子力研究開発機構)研究開発成果「第2次とりまとめ」