世界155カ国にネットワークを持つ世界最大級のプロフェッショナルサービスファームであるPwCにおいて、戦略コンサルティングを担う「Strategy&」に所属している唐木明子さん。彼女は、PwCがグローバルで展開するアップスキリングイニシアチブ、「New World. New Skills. 新たな世界。新たなスキル。」の日本における推進をリードし、その一環として次世代女性リーダーを育てる活動にも注力しています。そのキャリアと、最新の取り組みについて聞きました。
幼い頃からの声掛けがジェンダーフリーの要になりうる
── 日本は女性リーダーが少ない状況です。留学や海外勤務経験のある唐木さんは、日本の現状をどう見ていますか。
唐木明子さん(以下、唐木) 世界経済フォーラムの2020年のジェンダーギャップランキングで、日本は153カ国中121位、主要7カ国で最下位に甘んじています。そのため「女性リーダーを増やす必要がある」と言われますが、「女性もリーダーを務めているのが当たり前」の社会になってほしいですね。

PwCコンサルティング合同会社、Strategy&・パートナー
東京大学法学部卒業、コロンビア大学ロースクール修了(LL.M)。外資系証券会社で社内弁護士として東京・ニューヨークで勤務。米系戦略コンサルティングファーム、金融機関を経てStrategy&に参画。現在は戦略コンサルタントとして企業の課題と向き合い、変革を支援している。
── 固定概念に縛られている人も多い中で、唐木さんがジェンダーフリーに生きられているきっかけを教えてください。
唐木 子どもの頃のいくつかの経験が思い浮かびます。
幼少期に、祖父に言われた「女性は女に生まれただけで女らしい。だから、無理に女性らしくしようと思わなくていい」という言葉が印象に残っています。そのおかげで「女性だから我慢しよう」とか「女だからこれはできない」と思わずに行動できたのかもしれません。
小学校から高校までの経験も大きいです。幼少期はアメリカに滞在していたため、現地の小学校に通いましたが、そこでは、自分を主張し、出すぎる杭になることが奨励されました。そのため、自分の得意分野をぐいぐい伸ばそうという気になりました。中学と高校は日本の女子校に通いましたが、徹底したジェンダーフリーで、やりたいことを追求させてくれました。
── 長く働き続ける中で何らかの壁を感じたこともあるのでは。
唐木 就職活動の時、社会人留学を希望していたのですが、「女性を留学させてくれる会社なんてないよ」と言われたり、そもそも女性の総合職の枠が小さかったりして苦労しました。それでも気持ちが折れなかったのは、育ってきた環境やマインドセットのおかげかもしれません。
結局、「海外で弁護士資格の取得ができる」という外資系証券会社に入社。コロンビア大学ロースクール卒業後に資格を取得し、企業内弁護士に。その後、戦略コンサルタントに転身し、Strategy&に参画しました。その間に結婚や息子たちの出産も経験。特に子どもがいると自由に使える時間が減り、周囲との関係性も変わりますが、モチベーションを削がれることなくキャリアを重ねることができたのは、それぞれの職場で上司や同僚と良い関係を築くことができ、サポートを得られたからだと思います。