劇的にライフスタイルが変わる今、心にとめるべき2つの視点

写真左から、法政大学教授の田中研之輔さん、一般社団法人Public Meets Innovation代表理事の石山アンジュさん、NPO法人GEWEL 理事の稲葉哲治さん
写真左から、法政大学教授の田中研之輔さん、一般社団法人Public Meets Innovation代表理事の石山アンジュさん、NPO法人GEWEL 理事の稲葉哲治さん

 「Amazonアカデミー」のテーマは、「時代の転機を迎える日本社会、これからのキャリアと自分らしい働き方とは」。

 現在、日本は3つの歴史的転換期の交差点にあると、田中さんは言います。一つ目は、19年に始まった政府による働き方改革、二つ目は、経済界による日本型雇用の制度転換、そして三つ目として、新型コロナウイルス感染症が拡大することで、テレワークが普及したことを挙げます。「そもそも終身雇用には、会社に守られている『安心感』と『会社に依存してしまう』というアンビバレントな関係性があった」と田中さん。それがコロナ禍により、社会人のほぼ全ての人が「働き方」「キャリア形成」「労働環境」について立ち止まって考えるきっかけになったと言います。

 一方で、テレワークが急速に広まり、その課題も新たに見えてきました。「当初はWi-Fi環境など、ハード面に関する課題が中心でした。けれど、時間が立つにつれ、雑談などのコミュニケーションがないことで、ミスが生じやすくなるなど、ソフト面での悩みが増えてきています」と稲葉さん。

 石山さんは、「日々のコミュニケーションが取りづらいなか、前例がないものに対してどう解決策を見出していくか、考えることが増えた」とのこと。現在は、「仕事をするチームの中で、お互い想像力を働かせ、一段と相手に歩み寄ることが大事だと気づき、常に心がけている」と話します。

 「コロナ前の働き方では、多様な人々をどう受け入れるかが重要視されていましたが、リモートワークによって、同じだと思っていた人々の違う価値観が見えてきました。今は自分の価値観を表に出し合ってシェアし、理解できなくても受け入れることが大切だと思います」と稲葉さん。

 終身雇用の崩壊から「これまでの組織の中だけの閉ざされたキャリアとは違って、1つのキャリアだけで人生を終わらせなくていい時代が来ている」と田中さんは言います。ここで大切なのは、働くことの本質を見つめ直し、自分の可能性を高めながら、同時に組織を良くしようと動くことだという指摘も聞かれました。「同じ組織で長く働いていると、いつの間にか『働かされている』感覚に陥ってしまいがちです。しかし社会人として働くことは社会と向き合うこと。自分の未来につながるアクションだと、常に意識したほうがよいと思います」(石山さん)

 また、向き合うべきは勤務先ではなく、社会と自分の未来──この意識を維持することで、終身雇用時代とは全く異なるキャリア形成に必要な2つの働き方の軸、「自分自身のキャリアオーナーシップ」と「キャリアを実現できる企業のサポート」が見えてくるはずです。

 「キャリアは自ら主体的に設計、デザイン、実現していけるもの。企業側は従業員のその活動を応援していることが大切です」と田中さんは言います。また、石山さんからは、「私は自分が社会の中でどういった役割を持てるのか、その先にある自分の使命とは何か、という問いに向き合いながらいつも仕事をしています。自分に、社会に、未来にオーナーシップを持つ」という自らの考えについて言及しました。

 「今、必要なのは多様な価値観を受け入れるのはもちろん、互いに尊重し、自分も認めてもらうことで、個性を生かせる職場の環境づくり」と稲葉さんはいいます。実現するためには企業側と働き手がフェアトレードを持続的に行う必要があるのです。

 多様性が求められている時代に自分の強みを発揮し、そして主体的にキャリアを築いていくためには、自身のキャリア設計に「オーナーシップ」を持つという意識が大切です。そして、企業が人材を選ぶのではではなく、働き手がキャリアアップのために活躍できる「企業を選ぶ」時代になっていくとの結論で、議論は締めくくられました。

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文/塩野里美 写真/アマゾンジャパン提供