顧客から資金を預かり株式や債券などで運用する資産運用会社の日興アセットマネジメント。世界11カ国・地域で事業を展開する同社は2030年までにグローバルで女性管理職比率30%の目標を掲げる。企業経営の中でダイバーシティ&インクルージョンとジェンダーダイバーシティは何をもたらすのか。そして、どんな会社を目指しているのか。代表取締役会長兼社長の佐谷戸淳一さん、常務執行役員でコーポレート・サステナビリティ統括のステファニー・ドゥルーズさんに語っていただいた。(聞き手は平田昌信・日経xwomanプロデューサー)

日興アセットマネジメントのステファニー・ドゥルーズさん(左 常務執行役員 コーポレート・サステナビリティ統括)と佐谷戸 淳一さん(右 代表取締役会長兼社長)
日興アセットマネジメントのステファニー・ドゥルーズさん(左 常務執行役員 コーポレート・サステナビリティ統括)と佐谷戸 淳一さん(右 代表取締役会長兼社長)
日興アセットマネジメント
東京に本社を置き、世界11カ国・地域に事業展開する資産運用会社。投資信託の開発・運用や投資顧問事業を行う。グローバルな投資能力や独自性豊かな商品が特色。1959年に日興証券から分離・独立して投資信託運用会社として設立。2009年10月に住友信託銀行によって子会社化され、現在は三井住友トラスト・ホールディングス傘下となっている。

すべての社員が生き生きと働いてイノベーションを創出

――金融業界でもD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)、ジェンダー平等は喫緊の課題かと思います。2030年までに女性管理職比率を30%に引き上げる計画をお持ちですね。

佐谷戸淳一会長兼社長(以下、敬称略) 2030年までに、グローバルで30%にする目標を2021年3月に掲げました。

 かねてより当社は組織が多文化で構成されている価値を重視しています。当社がサステナビリティにおいて重視している3つの分野、「D&I」「不平等の是正」「環境・気候」の中でも、D&Iは特に重要であり、ジェンダーダイバーシティはその中核をなす要素だと考えています。

 すべての社員が生き生きと働いてイノベーションが絶え間なく創出されるような組織をつくるためには、D&Iや健全なジェンダーバランスの実現が不可欠です。女性管理職比率というのは企業の意思決定レベルにおけるジェンダーバランスを示すものですので、当社の女性活躍推進の取り組みの進展を示す重要な指標であると考えています。

佐谷戸 淳一代表取締役会長兼社長。<br>1978年(昭53年)京大法卒、住友信託銀行(現三井住友信託銀行)入行、08年取締役。14年三井住友トラスト基礎研究所、取締役社長。15年日興アセットマネジメント代表取締役副社長、19年代表取締役会長兼共同CEO。21年4月より現職。福岡県出身
佐谷戸 淳一代表取締役会長兼社長。
1978年(昭53年)京大法卒、住友信託銀行(現三井住友信託銀行)入行、08年取締役。14年三井住友トラスト基礎研究所、取締役社長。15年日興アセットマネジメント代表取締役副社長、19年代表取締役会長兼共同CEO。21年4月より現職。福岡県出身

――コーポレート・サステナビリティを統括する常務執行役員として、この目標についてどのように捉えていらっしゃいますか。

ステファニー・ドゥルーズ常務執行役員(以下、敬称略) 2021年1月時点で女性管理職比率は18%強、直近では20%近くに達していることから、決して難しい目標ではないと思っています。当社の海外拠点で最も規模が大きいシンガポールオフィスでは、女性社員がおよそ半数、女性管理職比率は約4割に達しています。また女性社員のうち61%は働きながら子育てをしています。オフィスによってバラつきはありますが、この目標は必ず達成できると思っています。

 ただし、これは一夜にして達成できるものではありません。適切な育成プログラムを準備して、きちんと見通しを立てていくことが必要になります。

ステファニー・ドゥルーズ常務執行役員 コーポレート・サステナビリティ統括。<br>オックスフォード大学卒業、ハーバード大学経営大学院(MBA)修了。モルガン・スタンレーなどを経て2014年日興アセットマネジメント入社。現在は国内外の商品開発、国際営業・戦略、マーケティング、広報、営業支援およびコーポレート・サステナビリティを統括する
ステファニー・ドゥルーズ常務執行役員 コーポレート・サステナビリティ統括。
オックスフォード大学卒業、ハーバード大学経営大学院(MBA)修了。モルガン・スタンレーなどを経て2014年日興アセットマネジメント入社。現在は国内外の商品開発、国際営業・戦略、マーケティング、広報、営業支援およびコーポレート・サステナビリティを統括する

――そもそも日興アセットマネジメントとはどういう会社なのか、社長から手短にご紹介いただけますか。

佐谷戸 当社は資産形成や資産運用ニーズのあるお客様から資金をお預かりして、株式や債券などに投資し、その収益をお客様にお届けするという、いわゆる資産運用会社です。全国の銀行や証券会社を通じて投資信託と呼ばれる金融商品を広く提供しています。機関投資家のお客様向けにも投資ソリューションを提供しています。

 当社のルーツは今から60年以上遡りますが、今日までに株主の交代やM&Aといったダイナミックな歴史を経験しています。10数年前には外資系の会社でした。現在でも社内の正式文書は日英で作成されておりますし、社内の主要会議では同時通訳が行われています。

 本社は東京ですが、全社員の1/3は海外拠点に勤務しています。東京で働く社員の国籍やバックグラウンドはとても多様で、日系の金融機関の中では、グローバル展開と多様性が最も進んだ会社のひとつではないかと思います。