無水調理鍋なのに軽くて、しかも焦げ付きにくい。スタイリッシュなデザインでそのままテーブルにも出せる。2022年2月にリンナイが発売した無水調理鍋「Leggiero」が異例の売れ行きを見せている。そのヒットの理由とものづくりの秘密を探るべく極上の道具を知り尽くした「藤巻百貨店」創業者の中村亮代表とともに工場を尋ねた。さらに、Leggieroの調理道具として可能性を検証するため、東京・広尾にあるミシュラン1つ星レストラン「Ode(オーデ)」の生井祐介シェフにLeggieroならではのスペシャリテを開発してもらった。

 シンプルで美しい佇まい。そして素材の味を引き出す無水調理が可能で、その上軽い。独自のセラミックコーティングは焦げ付きを防いで洗う時も簡単に汚れが落とせる──。

 ガス調理機器を製造するリンナイが、キッチンを知り尽くしているからこそ生み出せた無水調理鍋「Leggiero」。その高い性能の秘密を探るべく、製造の現場を直撃取材した。取材をしたのは、日本中のものづくりの現場を歩き、本当に良いものだけを厳選して販売するウェブサイト「藤巻百貨店」の創業者、中村亮代表。道具を見極めるプロの忌憚ない意見を交えながら、開発者のLeggieroへの思いを聞いた。

リンナイの無水調理鍋
Leggieroとは?
「使いやすく、美しい」を目指し、新しい食事体験を提供するために生まれた鍋。簡素な佇まいでありながらも上質で、毎日使いたくなるような実用性も兼ね備えています
❶ 圧倒的な軽さ
「真空アルミダイカスト」成形と厳選したアルミ素材により、軽量かつ高密度な鍋の加工を実現。最薄部は3ミリと薄い鍋ながらも、鉄鋳物製鍋と変わらない保温性能です。重量は鉄鋳物製無水鍋の約半分。毎日使いたい、日常の即戦力になる鍋です。
❷ 均一で高精度
長年にわたる加工技術とロボット活用のノウハウを駆使して、均一で高精度な鍋づくりが可能に。鍋と蓋の精緻な噛み合わせが実現する水蒸気の蓋「ウォーターシール」が無水調理を実現。緻密に制御されたロボットが、均一で「剥がれにくい」コーティングを施しました。
❸ 焦げ付かないセラミックコーティング
特殊セラミックコーティングは剥がれにくく、かつスムーズな鍋肌に。カレーや煮物を温め直すとき、肉や魚、卵を炒めるときなど調理中の焦げ付きがほとんどありません。スポンジで優しく擦るだけで汚れが簡単に落とせ、調理のストレスが激減します。

シンプルで美しいことにはきちんとした理由がある

──リンナイの工場を見学されて、どんな感想を抱きましたか。

聞く人
聞く人
藤巻百貨店
中村亮代表
日本のものづくり高級セレクトショップ「藤巻百貨店」(fujimaki-select.com)の創業者で同サイトを運営するcaramo社長。

中村Leggieroの製造工程は「鋳造」「表面加工」「塗装」という3つのプロセスで構成されていますが、良い意味で「手間を掛けすぎていない」と感じました。こうしたシンプルなものづくりが、良いものを生み出す秘訣かもしれませんね。

松本リンナイでは各プロセスで分担してものづくりを行っているので、社員各々が「それぞれの作業の中で良いものを作るぞ」という気持ちになりやすいんです。それも、商品の質の良さにつながっているんじゃないかなと。

中村ロボットも働いていましたよね。最初は全部の作業をロボットが行っているのかと思ったけど、よくよく見ると社員の皆さんが頑張っていました。ロボットは人間の動きを真似ているんですか?

作った人
作った人
リンナイ精機
松本和彦社長

松本人間の動きを真似させることもありますが、どちらかというとロボットにしかできない動きをさせているイメージです。例えばLeggieroでは、塗装の厚みを均一にするために、内周と外周の距離の差を計算しながらスプレーガンを動かしていく必要があるので、こうした仕事をロボットに任せるようにしています。

中村Leggieroの塗装はすごく薄くてムラがないように見えました。塗装が均一だと、お客さんにはどんなメリットがあるんですか?

作った人
作った人
リンナイ 開発本部 第二商品開発部 厨房機器設計室
梅田真由子主事

梅田一番は、鍋の耐久性が高まること。急激な温度差によってダメージを受けてしまうことを「ヒートショック」といいますが、鍋の劣化にもこのヒートショックが大きく関わっているんです。塗装の厚みが均一になることで、ヒートショックの影響が少なくなるんですよ。

松本さらに、塗装ムラがないことで塗装がはがれにくくなり、劣化しにくくなるといった利点もあります。購入したてのような美しい状態で長期間使用していただくことが可能です。

中村あとは事務室から工場に至るまで、どこを取ってもゴミ1つ落ちていなくて、清潔なことにも驚きました。リンナイの皆さんにとっては当たり前のことかもしれませんが、ものづくりの現場において「清潔」は非常に重要な要素だと思うんです。

松本やはりキッチンで使用するものなので、きれいな場所で作りたいですよね。リンナイには「きれいな場所から良いものを」というDNAがある気がします。

Leggieroができるまで
Leggieroは国内工場で完全自社生産。ロボットを活用した精密な加工、そしてリンナイ基準を知り尽くしたプロの目による厳しい品質管理で、商品をみなさまのもとにお届けします
❶ 注湯
軽さ、密度、そして保温性など考慮しながら厳選した高品位アルミを670 度の炉で溶かし、何度も試作を重ねた真空の金型に流し込む
❷ 鋳造
肉薄でも十分な強度が出せ、高い寸法精度を実現できる「真空ダイカスト」法と呼ばれる鋳造方法を採用。バリ取りなどの後加工で鍋が歪んだりしないよう何度も試作を重ねた上で最適な製造方法をロボットに覚えさせ、バラツキのない品質を実現
❸ 表面加工(研磨・ブラスト)
表面の美しさは、実は鍋の性能や耐久性に直結する重要な要素。3次元加工機で切削・研磨を行い、ブラスト処理で表面を均一に。ブラスト処理ではアルミナと呼ばれるセラミックスを吹き付けて塗装の密着度を高める
塗装前のLeggiero 。徹底的に磨き込まれた陶器のような美しい表面を作る
塗装前のLeggiero 。徹底的に磨き込まれた陶器のような美しい表面を作る
❹ 塗装
傷付かず、焦げ付かず、剥がれない高い性能を実現するためのセラミック塗装は、均一な膜厚が命。塗装ロボットを活用してムラのないようにスプレーする。各工程では必ず専門家の目で品質をチェック。徹底した品質管理を行う