もともとの技術を活かすことで、リンナイらしい鍋ができた
──実際に商品を作る際、企画と開発で意見がぶつかることはありましたか。
梅田「意見がぶつかる」とは少し違うかもしれませんが、「ウォーターシール効果」を高めるための調整は何度も協議を重ねました。「ウォーターシール」とは、鍋の中の蒸気がふたと本体の隙間にたまってできる「水の膜」のこと。このウォーターシールで鍋のふたと本体の接触面を覆うことで無水調理の機能が高まります。
松本ウォーターシール効果を出すためにはふたと本体との隙間が大事なんです。ふたと本体との隙間の寸法が狙いの値になるよう、トライ&エラーを繰り返しました。
梅田ほかにも大変だったのが、デザインと機能性の両立です。Leggiero のデザインでは直線美にこだわっているのですが、実際には鍋の底は丸みがある方が使いやすいんです。底が直角だと、素材を炒めたりお玉ですくったりするときに使いづらくなることが多いので、Leggieroのデザインではその点に配慮しました。直線的で美しい印象がありながらも、使いやすさを追求する。この点をいかに両立させていくかに、最後まで頭を悩ませましたね。
──Leggiero には、長年ガス機器の開発に携ってきたリンナイならではの技術も活かされているんだとか。
松本リンナイ精機の小牧工場では、もともとガス機器に搭載するバルブなどを製作していました。そこで培った技術をLeggieroの鋳造工程にも活かしています。
例えば、Leggieroに採用した「真空ダイカスト」は、「強い圧力を掛けながら、溶解した金属を金型に流し込む」という製造方法なのですが、真空ダイカストで作った金属は、収縮が少なく、気密性も高くなるんです。ガス漏れや圧力漏れに強いため、ガスバルブの製作に活用していました。これを応用することで、気密性が高く、鋳肌のきれいな鍋を作ることができました。
中村真空ダイカストで鍋を作るのは珍しいことなんですか?
松本他のメーカーさんはあまりやらないと思います。高い圧力を掛けるので金型も傷みやすいし、非常に高コストなんです。ただ、私達はこの方法に慣れていましたし、それ以外の方法を知らなかったので(笑)。
梅田リンナイの保有技術として今まで培ってきた真空ダイカスト技術は、「軽くて使いやすく美しい」Leggiero の特性に最適な製法と思っています。
中村まさにリンナイならではの形なんですね。
あらゆる調理がこの鍋一つで
https://rinnai.jp/leggiero/recipe/