突然の両親の介護と上司たちからの予想を超えるフォロー
岩﨑前職に比べて格段に働きやすくなったものの、実はその後さらに大きな壁に突き当たりました。長女が小学校に上がると同時に両親が次々と病気になり介護が必要となったのです。
―― 小1の壁とダブル介護が一気に重なったのですね。
岩﨑はい。子どもが病気のときに両親を頼ることもできなくなり、両親の介護のための病院通いも始まりました。「さすがに、働き続けるのは無理か」と思ったこともありましたが、仕事を手放すことはあまりに惜しく、上司に実状をすべて正直に伝え相談にのってもらいました。
上司や同僚の対応は私の予想をはるかに超えるものでした。当時、私は客先に常駐していましたが、母の体調不良などで突発的に早退が必要となった場合には上司が一緒にフォロー策を練ってくれて、クライアントに不安を与えることなくプロジェクトを続けることができました。早退した分の仕事はもちろん自身で対応しますが、部下の生活を大事に考えてくれる上司や同僚の配慮がなければ、あの時期に働き続けることは不可能でした。社風の良さ、メンバーが事情を尊重し合える心地よさを実感し、「ずっと働き続けたい」という思いを新たにしました。
―― 13年には管理職に昇進していますが、迷いや不安はなかったのでしょうか。
岩﨑内示が出たのは、長女が小3のときです。子どもがいても当たり前のように昇進できることにちょっと驚きを感じましたが、不安はなく、見える景色が変わるだろうという楽しみな気持ちだけでした。「もしうまくいかなかったら、周りに相談しながら乗り切ろう」と肩の力が抜けた状態で就任したのです。周囲の助けを受け、メンバーといい関係を築きながら乗り切れてきた経験から、自ずと自信が湧いてきたのだと思います。
実は管理職就任後には、夫婦で決断し、親の介護で中断していた不妊治療を再開したのです。長女を育てながら睡眠や食生活を整え、ストレスをため込まずにコンサルティングの仕事に取り組むことができるのか? そんな不安な気持ちもありましたが、上司に相談したところ、理解し応援してもらえることになりました。実際、裁量労働制の制度を活用して、勤務時間の合間にも病院へ行くこともでき、無事に14年に次女を出産することができました。
不安がるより、「まず、やってみる」ことを勧めたい
岩﨑私は2月に次女を出産しました。当時は保活が厳しく、保育園入園のタイミングを逃したくなかったので4月に復帰しました。働き方や育休の活用はまさに人それぞれで、同期で同時期に出産した同僚は2年ほど育休を取得しました。出産前に管理職になり、産休・育休後も以前と同様に管理職として活躍している人もいますし、男性の育児休業取得率も今年度は85%を超えています。徐々に会社の制度も整い、活用している人が増えています。弊社は育児休業が3年あって、小学校1年生修了までの間に分割して取得ができるのも利点ですね。私の時にはこの制度はなかったのですが、あったら使っていたと思います。