日本経済新聞社と日経BPは第2回「日経ウーマンエンパワーメント広告賞」を発表した。(関連記事「第2回日経ウーマンエンパワーメント広告賞が決定」)男女の役割分担などの固定観念を打破し、ジェンダー平等を推進するのに貢献した広告を対象としており、国内広告から選ぶ「アンステレオタイプ広告賞」は東海テレビ放送、同審査員特別賞は味の素冷凍食品がそれぞれ受賞した。日経関連の媒体を対象とする日経特別賞はツムラが受賞した。
2021年11月11日付日本経済新聞朝刊より転載

アンステレオタイプ広告賞 東海テレビ放送
「ジェンダー不平等国で生きていく。」

性別・世代超え、意識を問う「生きづらさ」など描く

テレビ広告2021年5月30日
テレビ広告2021年5月30日

 発達障害や性的少数者など公共キャンペーンCMで話題作を作り続けている東海テレビ放送が今年はジェンダー問題に真正面から取り組んだ。政治や経済の舞台で女性が抱える生きづらさや夫婦が家事や育児を分担するときに何が障害となるのか、男性側の意識、時代とともに変化する「こうあるべきだ」という意識などを描いている。そのうえで、誰もがこの問題を自分事としてとらえることがジェンダー平等に向けた第一歩になると訴えている。

 東海テレビは、世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数が156カ国中120位に低迷し、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長の女性蔑視発言が国際的な関心を呼ぶなどの状況から「今、この国のジェンダー意識が問われている」と位置付けた。そして性別、世代、立場の異なるさまざまな人々に取材し、身の回りに存在するジェンダー問題を描いている。

 審査会では「日本にある課題に正面から向き合っている」「ジェンダー問題に取り組みが遅れているとされるメディア企業の中でも、特にテレビから問題発信した意義は大きい」などと評価する声が相次いだ。

アンステレオタイプ広告賞審査員特別賞 味の素冷凍食品
「冷凍餃子手間抜き論争」

SNSで女性を勇気づけ 価値観変え、売り上げ増に

Web広告2020年10月6日〜
Web広告2020年10月6日〜

 冷凍餃子(ぎょうざ)は手抜きではなく、「手間抜き」です――。味の素冷凍食品がSNS(交流サイト)上を中心に展開したこんなキャンペーンは「料理は妻が愛情を込めて手作りすべき」という古い価値観に悩む母親を勇気づけた。審査会では「SNSでの議論を自分たちが目指す社会を実現するための方向の議論に変え、さらにそれを企業のミッションとして位置付けた」と高く評価している。

 きっかけは一般の投稿だった。夕飯に冷凍餃子を出した女性が夫から「手抜き」だと言われた悔しさをつづっていた。これに味の素冷凍食品のツイッターの公式アカウントが素早く反応し、「手抜きではなく、手間抜き」と発信。これが4万件以上の「いいね!」を集めた。さらに冷凍餃子が工場で144もの工程を経て生産されている様子を映した動画を公開し、論争を加速し、多くの賛同を集めた。

 冷凍食品業界では、それまでも手抜きではなく、手間抜きだというキャンペーンを展開していたが、今回はより多くのメディアが取り上げることとなり、冷凍餃子の利用を肯定するツイートは約3倍になった。同社の冷凍餃子の売り上げも前年同月比約120%になったという。

日経特別賞 ツムラ
「#One More Choice」プロジェクト

「我慢」以外の選択をデータに基づきリアルな姿描く

日本経済新聞朝刊2021年3 月8日付 Web広告2021年3月5日~
日本経済新聞朝刊2021年3 月8日付 Web広告2021年3月5日~

 漢方のツムラが「不調を我慢して、仕事や家事をしている」女性に向けたメッセージ。不調の際には我慢するのではなく、一人ひとりにあった多様な選択肢があると訴えている。

 「#One More Choice」プロジェクトと呼ぶキャンペーンの一環として展開した。全国の20~50代の女性1万人を対象に「隠れ我慢調査」を実施。不調を我慢して、仕事や家事をしている女性が8割に達していることのほか、我慢していつも通りに過ごす理由(複数回答)の1位が「仕事や家事に支障が出る」(50.1%)であることや我慢して、体調悪化させた経験がある女性が6割強に達することなどを明らかにしている。

 また関連する動画も作成。我慢していつも通りに仕事や家事をこなしている姿を表現した。審査会も「データに基づき、リアルなシーンとして描いている」と評価している。

 ツムラの漢方には「一人ひとり、それぞれの体質や症状に合わせて最適な処方を選択する」という考え方があり、これに合わせた内容にもなっている。

アンステレオタイプ広告賞優秀作品 クレハ
「僕は手伝わない」

「手伝う」のではなく、もっと積極的に

Web広告2020年6月16日~ 2021年3月29日
Web広告2020年6月16日~ 2021年3月29日

 家庭用品のクレハが制作した男性の家事参加を促すウェブ広告。時代に逆行するような言葉を冒頭に置いているが、中身は男性を悪者にせず、性別を問わず共感してもらえる映像を目指したという。

アンステレオタイプ広告賞優秀作品 ニッポン放送
「SDGs 固定観念篇80 秒」

ラジオの力で、社会を変える

ラジオ広告2021年5月11日
ラジオ広告2021年5月11日

 「ラジオ・チャリティ・ミュージックソン」などに取り組んできたニッポン放送のSDGs(持続可能な開発目標)をテーマにしたラジオCM。「ラジオの可能性、音声の可能性を再認識した」と評価された。

アンステレオタイプ広告賞優秀作品 サイボウズ
「多様性に関するお詫び広告」

企業統治に一石投じる試み

日本経済新聞朝刊2021年2月18日付
日本経済新聞朝刊2021年2月18日付

 取締役が全員男性だったサイボウズが改革に乗り出
したことを告知する広告。候補を社内公募し、実際に5人の女性を含む17人が取締役になった。審査会では「おじさん」という表現に賛否もあった。