日経特別賞優秀作品 ワコール
「ワコールは、からだメンテする店頭へ。」
「ココロとからだに合う」喜びを表現
ワコールの新聞、テレビ、ウェブを連動した広告。コロナ禍の中、顧客と出会える「店頭」を大切にしたいとの思いを込めた。女性がぴったりの下着に出合えた気持ちを、顔と体で表現している。
日経特別賞優秀作品 ポーラ
「ひとりの女の子を変えた、ひとりの女性の話。」
「女性に生まれてよかった」と思える話
ポーラの企業広告。登場する「ひとりの女性」というのは同社の関西エリアのオーナーで、彼女が児童養護施設の若者たちとかかわる姿を描いている。「新聞ならではの読ませる広告」と評価された。
【識者のコメント】
東京大学理事・副学長 林 香里氏
東京大学理事・副学長 林 香里氏
ダイバーシティー さらに深化を
選択的夫婦別姓制度が進まないなど、日本には明らかに女性に不利な法制度や雰囲気が残っている。政治が変わらなければならないのはもちろんだが、企業も変化を求められている。例えば男女にかかわりなく、経験を積み、評価される仕組みが必要だ。これまでは男性にはさまざまな経験をさせるが、女性は特定の仕事だけを与えるという風潮があった。これでは「管理職になるのにいい人がいない」のは当然だ。
広告は企業による社会とのコミュニケーションだ。その意味で、この広告賞は必要な賞だと思う。東海テレビ放送が受賞しているが、メディア産業、特に地方のテレビ局はネットの興隆や放送法問題などで、経済的にも表現者としても厳しい状況になっている。こうしたCMを制作することは「表現者として問題意識を持っている」という宣伝になることであり、評価できる。
東京大学も女性が理事の半数を占めるなどガバナンス(統治)にダイバーシティー(多様性)を取り入れるようになっている。これは大きな変化であり、今後も大きく変わっていくだろう。

広告は企業による社会とのコミュニケーションだ。その意味で、この広告賞は必要な賞だと思う。東海テレビ放送が受賞しているが、メディア産業、特に地方のテレビ局はネットの興隆や放送法問題などで、経済的にも表現者としても厳しい状況になっている。こうしたCMを制作することは「表現者として問題意識を持っている」という宣伝になることであり、評価できる。
東京大学も女性が理事の半数を占めるなどガバナンス(統治)にダイバーシティー(多様性)を取り入れるようになっている。これは大きな変化であり、今後も大きく変わっていくだろう。

審査委員講評
コロナ禍の突きつける現状を象徴
今回のアンステレオタイプ広告賞は、単に「女性活躍」を訴えるのではなく、前回よりも踏み込んだ作品が多かったように思う。ただ、ジェンダー平等やステレオタイプの打破に関しては、日本の企業はまだ入り口に立ったばかりの状況だ。この問題が会社にとってどういう意味を持つのか明確にしていく必要があるだろう。
コロナ禍の中、日本でも世界でも家事やケアワークのような無償労働は圧倒的に女性が担っているという事実が明らかになった。この負担で仕事を辞めざるを得ない人も多い。だが、広告は人々の行動を変える力がある。購買意欲をかき立てるのと同じように社会を変える力を発揮してほしい。そして社会にある「当たり前」に挑戦してほしい。
今回のアンステレオタイプ広告賞は、単に「女性活躍」を訴えるのではなく、前回よりも踏み込んだ作品が多かったように思う。ただ、ジェンダー平等やステレオタイプの打破に関しては、日本の企業はまだ入り口に立ったばかりの状況だ。この問題が会社にとってどういう意味を持つのか明確にしていく必要があるだろう。
コロナ禍の中、日本でも世界でも家事やケアワークのような無償労働は圧倒的に女性が担っているという事実が明らかになった。この負担で仕事を辞めざるを得ない人も多い。だが、広告は人々の行動を変える力がある。購買意欲をかき立てるのと同じように社会を変える力を発揮してほしい。そして社会にある「当たり前」に挑戦してほしい。
(石川雅恵氏)
多様性、男女の視点、主体性などで審査
「日経ウーマンエンパワーメント広告賞」は日本経済新聞社と日経BPがUNWomen(国連女性機関)日本事務所や日本アドバタイザーズ協会、内閣府、外務省の協力・後援を得て開催している。今回が2回目で、2020年9月~21年8月に放映・掲出・掲載された広告を応募対象とした。9月下旬に開いた審査会では国連関係者や大学教授、広告・PRの専門家らが各賞を選出した。
UNWomenはメディアと広告によってジェンダー平等を推進し、有害なジェンダーの固定観念を撤廃するための世界的な取り組みを進めており、2020年にはUNWomen日本事務所が日本経済新聞社などと「アンステレオタイプアライアンス日本支部」を設立している。
アンステレオタイプアライアンスでは3つのP(プレゼンス=多様な人々が含まれているか、パースペクティブ=男性と女性の視点を平等に取り上げているか、パーソナリティー=人格や主体性がある存在として描かれているか)の推進を提唱している。ウーマンエンパワーメント広告賞ではこの3つのPに対応しているかどうかに加え、課題に対する洞察とそれを解決するための戦略性、人々が行動を変革するきっかけをつくったかなどの点を重視して審査した。
UNWomenはメディアと広告によってジェンダー平等を推進し、有害なジェンダーの固定観念を撤廃するための世界的な取り組みを進めており、2020年にはUNWomen日本事務所が日本経済新聞社などと「アンステレオタイプアライアンス日本支部」を設立している。
アンステレオタイプアライアンスでは3つのP(プレゼンス=多様な人々が含まれているか、パースペクティブ=男性と女性の視点を平等に取り上げているか、パーソナリティー=人格や主体性がある存在として描かれているか)の推進を提唱している。ウーマンエンパワーメント広告賞ではこの3つのPに対応しているかどうかに加え、課題に対する洞察とそれを解決するための戦略性、人々が行動を変革するきっかけをつくったかなどの点を重視して審査した。