寒さが増し、乾燥、くすみ、かゆみなどの肌トラブルが一段と気になる今の時期。肌には本来、うるおいを保持し、刺激から肌を守るバリアー機能が備わっています。しかし、年齢を重ねるとともにその機能は低下し、トラブルを招きがちに。働く女性の肌の悩みを診療現場で支えるウォブクリニック中目黒総院長の髙瀬聡子さんに、この時期心がけたい外側からのケアと肌老化を抑える食習慣、さらにアーモンドでわかった最新の肌研究成果についても解説してもらいます。

冬の乾燥や低温が肌トラブルを招く

 毎日スキンケアを心がけているのに、肌がかさつく。肌色がくすみ、ちょっとした刺激でチクチクする。かゆみを伴うことも……こういった肌トラブルを実感することはありませんか。

 「冬の湿度、気温の低下が肌の乾燥やさまざまなトラブルを招く要因になります」と、髙瀬さんは指摘します。

髙瀬聡子(たかせ・あきこ)さん●ウォブクリニック中目黒総院長。1995年、慈恵会医科大学卒業。同大学附属病院で皮膚科医としてアトピー外来、レーザー外来などを担当。2007年、「ウォブクリニック中目黒」を開設。日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本抗加齢医学会、日本香粧品学会、日本レーザー医学会正会員。『ゆる美容事典「ほどほど」「ズボラ」で美肌を手に入れる』(講談社)など著書多数
髙瀬聡子(たかせ・あきこ)さん●ウォブクリニック中目黒総院長。1995年、慈恵会医科大学卒業。同大学附属病院で皮膚科医としてアトピー外来、レーザー外来などを担当。2007年、「ウォブクリニック中目黒」を開設。日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本抗加齢医学会、日本香粧品学会、日本レーザー医学会正会員。『ゆる美容事典「ほどほど」「ズボラ」で美肌を手に入れる』(講談社)など著書多数

 顔をはじめ、常に外気にさらされている部分は気温や湿度の低下の影響をまともに受けてしまい、乾燥しやすくなります。さらに冬の寒さで、肌は血流まで悪くなってしまうのです。

「気温が下がると、体は末梢(まっしょう)の血管をきゅっと締め、体温を逃さないように働きます。末梢血管が収縮することにより肌への循環血液量も減り、結果的に肌のターンオーバー(細胞の新陳代謝)が遅くなり、肌本来の修復機能の低下が起こりやすくなるのです」(髙瀬さん)。

 また、肌には「NMF」「細胞間脂質」「皮脂膜」という3つの因子があり、保湿の働きをしています(下の図参照)。しかし、年齢とともにこれらの因子を生成する力が低下し、乾燥が加速してしまうのです。

「皮脂膜を作る皮脂の分泌量は20代後半から下がり始めます。NMFや細胞間脂質も徐々にその生成量が低下。30、40代でも乾燥は進んでいるのでケアが重要ですが、気づかない人も多いですね。でも50代になると、それまでのスキンケアでは肌の調子が戻らない、と実感する人が増えてきます」(髙瀬さん)。

肌にはうるおいを保持する3つの因子があります。1つ目の「NMF(天然保湿因子)」は角質細胞の中に存在し、水分をつかまえる働きが。2つ目の「細胞間脂質」は、角質細胞同士を密着させて水分を抱え込みます。3つ目は「皮脂膜」。角質の表面で薄い膜を作り、水分を逃さないフタの役割をしています
肌にはうるおいを保持する3つの因子があります。1つ目の「NMF(天然保湿因子)」は角質細胞の中に存在し、水分をつかまえる働きが。2つ目の「細胞間脂質」は、角質細胞同士を密着させて水分を抱え込みます。3つ目は「皮脂膜」。角質の表面で薄い膜を作り、水分を逃さないフタの役割をしています

年齢とともに進行する「酸化」と「糖化」が肌老化を加速

 乾燥に加えて、肌荒れが治りにくい、肌色がくすみがち、しわやたるみが気になる、ということはありませんか。その要因となっているのが、加齢によりじわじわと進行している「酸化」と「糖化」です。

●老化要因1=肌の老化を進行させる酸化(サビ)
「私たちは酸素を取り込むことによって生命活動を行いますが、酸素は体内で活性酸素に変化します。活性酸素は免疫システムなど、役割を果たす一面もありますが、過剰に発生すると酸化ストレスとなり、細胞に傷を与え、肌の老化を促進するもとに。肌を守る3つの因子の生成力低下や、ターンオーバーの乱れにも、根本的には酸化が関わっています」(髙瀬さん)。

●老化要因2=肌のしわやくすみを進行させる糖化(こげ)
 もう一つ、加齢とともに進行するのが「糖化」です。「糖化は、食事からとった糖分が体内のたんぱく質とくっついて生成するAGEs(糖化最終生成物)によって、体のあちこちで起こる老化現象のこと。肌で糖化が起こると、コラーゲンの柔軟性が奪われ、たるみやしわ、さらに黄ぐすみの原因にも」(髙瀬さん)。