2021年11月16日、日経ウーマンエンパワーメントコンソーシアム加盟企業による勉強会を、 リアルとオンラインのハイブリッドで開催しました。G20 EMPOWER日本共同代表の塚原月子さん(カレイディスト代表取締役)とアキレス美知子さん(SAPジャパン人事戦略特別顧問)を講師に迎え、「G20から見る、世界最先端の潮流、グローバル企業事例を学ぶ~23カ国、167のベストプラクティス分析~」と題して行った会の内容を紹介します。
(上)アキレス美知子 一人でも多くの女性を意思決定層へ ←今回はここ
(下) 塚原月子 12項目でジェンダー格差を分析、可視化せよ
今回の勉強会の参加者は20社61人。講師は、 塚原月子さんとアキレス美知子さんが務めました。二人はG20 EMPOWER(Private sector alliance for the Empowerment and Progression of Women’s Economic Representationの頭文字。以下、EMPOWER)という、「経済やビジネス分野において主要な役割を担う女性の増加とエンパワーメント」を達成するために集まった民間セクターの国際的なアライアンスの日本共同代表として活動しています。
カレイディスト代表取締役/G20 EMPOWER日本共同代表

SAPジャパン特別顧問/横浜市参与/三井住友信託銀行取締役/G20 EMPOWER日本共同代表/内閣府男女共同参画推進連携会議議長

世界における日本の存在感が薄れている今こそ、一歩前へ
アキレス美知子さん(以後、アキレスさん)が会の冒頭で示したのは、GDPや競争力など、世界における日本の存在感が薄れていることを表すデータでした(参照:「世界167事例を取り入れて自社の女性活躍推進を加速」)。
「これらのデータから言えるのは、世界における日本の存在感が年々薄くなり、世界から取り残されていっているということに他なりません。しかし、こんな時代だからこそ、私たちはEMPOWERという活動を通して、世界から日本がどう見られているか、日本から世界はどう見えているかを改めて考え、他国から積極的に学びたいと考えています。また、女性活躍で他国に後れを取っているという日本の現状を放置せず、世界をリードする立場に変えたいという希望も持っています」
意思決定層で力を発揮する女性リーダーを一人でも増やすことが目的
EMPOWERは、日本が議長国を務めた2019年6月、G20大阪サミットで合意を得て、首脳宣言にも発足を歓迎し、支持するという文言が明記されて、2020年に本格的に設立された組織です。
「EMPOWERの活動では、意思決定層で力を発揮する女性リーダーを一人でも増やすことに焦点を絞っています。G20諸国はGDPでは世界の80%、人口では60%をカバーしています。つまり、この活動でムーブメントを起こすことができれば、世界的にとても大きな影響力を発揮できることが見込まれます」
現在、日本国内のアドボケート(賛同)企業・団体は32社。グローバルでは300以上の企業・団体が加盟しています。
・G20 EMPOWERの意義や活動、成果を内外に伝え、女性のリーダーシップとエンパワーメントを加速する具体的なアクションを起こす
・G20 EMPOWERアドボケートのメンバー間で、現状とその背景やデータの解釈、施策などの意見交換やアドバイスを共有する
・国内外のネットワーキングやイベント、調査、プロジェクト、勉強会などを通して、情報交換や学び合いの機会に積極的に参加する
・『G20 EMPOWERベストプラクティス・プレイブック』を通して、自社の好事例を共有し、他企業・団体からのベストプラクティスを学ぶ
EMPOWERが2021年に残した成果の一つが、『G20 EMPOWERベストプラクティス・プレイブック』の作成・公表です。これは、アドボケート企業・団体が、女性活躍推進に関する施策や行動、戦略のベストプラクティスを共有して学び合い、アライアンス外の組織も含めて、集まった事例からの示唆を活用し、変革を推し進めるために作られたリポートです。23カ国、139の企業・団体から167のベストプラクティスを収集し、日本からは14の事例が掲載されています。