多様性を推進する企業は長期的な成長が期待できる

 勉強会ではまずGPIFの塩村氏が「GPIFのESGに関する取り組みと女性活躍指数採用の背景」をテーマに講義を行った

 GPIFでは被保険者のため、長期的な投資収益の確保を目指している。女性活躍指数の採用も、「女性活躍が倫理的な観点で大事だからというわけではなく、長期的な投資収益につながると考えているからだ」と塩村氏は強調した。「ダイバーシティを推進している企業は、長期的な成長が期待できる。また社会のダイバーシティ化が進むことでマクロ経済も改善が期待できる」と塩村氏。

 ジェンダー平等への関心は、特に海外の運用会社や投資家の間で高まっており、「投資において今後一層重要なテーマになるのは間違いない」(塩村氏)。GPIFが、EquileapというNGOのデータに基づき、企業のジェンダー平等への取り組みについて評価項目別に偏差値を出したところ、日本の企業は海外の企業に比べて、取締役や経営幹部、上級管理職などにおける多様性の項目で偏差値が低い傾向が見られた。また企業の採用戦略などにおけるポリシー(方針)の開示についての項目でも、偏差値が低かった。「しっかりと取り組み、情報開示もしていくことが大切」と塩村氏は指摘した。

 続けて、MSCIの杉原氏が、「日本株女性活躍指数(WIN)―日本企業における性別多様性の評価方法について」をテーマに講義。WINの構成銘柄の選定方法などについて説明を行った。

 「市場全体に幅広く投資するユニバーサルオーナーと呼ばれる機関投資家は、企業が持続的に収益を上げられるかどうかを見ている。彼らにとってダイバーシティは重要なファクターの一つだ」と、杉原氏は語った。

ジェンダーダイバーシティに取り組む目的を再確認した

 レクチャーの後は質疑応答とディスカッションが行われた。参加者からは、「非常に参考になった。ぜひ投資家から評価をいただけるように、取り組みや発信を行いたい」「ジェンダー平等は経済成長に資するのだと実感した」などの前向きな感想が聞かれた。

 ある経営者はこう話した。「社内でジェンダーダイバーシティについて話すと、どうしたら女性管理職比率を上げられるか、どうしたらWINに採用されるのか……といった話になり、数値が目的化してしまいがちだった。今日、ダイバーシティが長期的なリターンにつながるという話を聞き、取り組む目的を再確認した。生産性を上げイノベーションを生み出すために多様性が必要なのだ、という足元の部分を見直し、社内外に発信していきたい」

 同時に、参加者からは、「社内全体では女性の比率が高まっているが、エンジニアにはまだまだ男性が多いなど、職種によって偏りがある」「女性がなかなか管理職になりたがらない」「男性社員を中心としたアンコンシャス・バイアスが、女性活躍を阻む要因になっている」といった、実務的な悩みも寄せられた。

 こうした悩みに、塩村・杉原両氏のほか、参加した社長たちからも自社での経験をもとにアドバイスがあった。予定していた時間が足りなくなるほど、活発な発言・議論が行われ、熱い雰囲気の中、勉強会は幕を閉じた。

【日経WEPコンソーシアム】
日本経済新聞社・日経BPは、2020年春に「日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト(WEP)」を始動させました。ジェンダー平等は日本の組織の成長に不可欠との信念を持ち、実践しているキーパーソンにインタビューしています。さらに、大型イベントの開催、勉強会&ネットワーキング、国連機関のUN WOMENとの連携など、当コンソーシアムで発信しています。ぜひこちらのサイトをご覧ください。

構成/久保田智美(日経xwoman編集部)