2022年1月12日に開催された、日経ウーマンエンパワーメントコンソーシアム加盟企業による勉強会。テーマは「男性脳と女性脳に根拠はあるのか」。脳の働きを研究する東京大学 四本裕子准教授に話を聞いた。セミナー中はウェブを使った受講者へのアンケート調査が行われ、結果をリアルタイムで共有。意見や質問も相次ぎ、ライブ感あふれる90分となった。

思考、行動、能力の男女差は一般化できない

 今回の勉強会の講師は、脳の構造や機能を測定するMRI(磁気共鳴画像装置)を用いてミリ単位で脳をスキャンし、知覚や時間感覚にまつわる脳の働きを研究する東京大学准教授の四本裕子さん。世の中にはびこる「男性脳・女性脳」説を真っ向から「非科学的で有害だ」と否定する(四本さんのプロフィールは記事「ニューロセクシズムとは何か?『脳の男女差』に潜むわな」を参照)。

勉強会はオンラインで開催された。上段左から2番目が講師の四本さん
勉強会はオンラインで開催された。上段左から2番目が講師の四本さん

 そもそも、「差」について考えるときに必要な視点として、四本さんは以下4つを挙げる。

1.科学的根拠に基づいているか
2.常に出版バイアスがある
3.その差は一般化できるか
4.それは因果関係か

 「一番大事なのは3の『その差は一般化できるか』という視点。例えば、カブトムシの角だったら、雄は角が大きい、雌は小さいので、雌雄の差は一般化可能と言えます。ほぼすべての雄は角が大きく、ほぼすべての雌は角が小さい、ということが言えるわけです」。では人間では、このような一般化できる差はあるのか。「ボディパーツの違いはもちろんありますが、思考や行動、能力について、一般化可能な差はありません。ほぼすべての男性はこうで、ほぼすべての女性はこうだと言うことはできないのです」

「カブトムシは雄は角が大きく、雌は角が小さい。クジャクは雄は羽が大きく、雌は羽が小さい。これは一般化できる差。人間の思考や行動、能力にこのような差は見られない」(四本さん)
「カブトムシは雄は角が大きく、雌は角が小さい。クジャクは雄は羽が大きく、雌は羽が小さい。これは一般化できる差。人間の思考や行動、能力にこのような差は見られない」(四本さん)