最近では医学部や都立高校の入試差別が取り上げられ、そのたびに差別を正当化するような言説がちらほら出てくるが、これらの言説についても四本さんは「根拠はない」と事例を挙げて説明。「世の中には多様な人間がいて、それぞれ得意なこと、不得意なことがある。けれど、この多様な人たちをわざわざ『男』と『女』に分け、『男(女)だから、これが得意』と言ってしまっているのが今の社会。(人的)リソースを損失し、人の可能性を矮小(わいしょう)化していることにほかなりません。これはジェンダーに限った話ではなく、人種、民族、性的指向など、何にでも当てはまります」

知っておきたい「ニューロセクシズム」

 勉強会も終盤に差し掛かったところで、「ニューロセクシズム」について説明した四本さん。「ニューロセクシズムとは、男女の行動や思考の違いが、脳の性差によるかのように説明・解釈してしまうこと。実際は、『脳』だけが原因ではありません。すべてが原因で、すべてが結果。特に日本では、社会や教育における性差が大きすぎるので、ここを解消していかないと、差別がより構造的なものとして固定されてしまう危険性があると言えます」

 では、どこから変えるべきなのか。四本さんは「意識的、もしくは無意識的な差別の認識と是正が大事」とした上で、「教育」「社会」「家庭」と大きく3つに分類し、変えるべきことを提示。「女の子はピンク、男の子は青などと決めつけることをやめる、幼稚園・保育園時代からの脱ステレオタイプ、理系・文系科目のジェンダーバイアスの是正など、教育の体制を変える必要があります。また、社会全体では、職業選択、雇用、会社が発信するメッセージ(広告)、消費者の意識も変えなくてはいけません」

「3つに共通するのが、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)の認識と是正です」(四本さん)
「3つに共通するのが、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)の認識と是正です」(四本さん)

 1時間にわたる講義の後は、25分間の質疑応答タイムとなり、四本さんと参加者のディスカッションが展開。活気に満ちた勉強会は1時間半で幕を閉じた。「今まで男女の差だと思っていたものは、社会教育に大きく影響を受けていると知り、大変勉強になった」「科学的根拠を社内説明に活用したい」など、勉強会後に多くの感想が寄せられた。

文/岩井愛佳(日経WOMAN編集)