「心理的安全性」はインクルージョンの根幹をなす

 さらにインクルーシブな組織をつくるために欠かせないのが「心理的安全性」だ。高い成果を上げるチームの要件を明らかにするために調査研究を行ったところ、次の5つの要素が明らかになったという。

1 心理的安全性(psychological safety)
2 チームメンバー間での相互信頼
3 チームの役割や目標が明確
4 自分にとっての仕事の意味を実感
5 チームメンバーが自分の仕事について、インパクトがあると思う

 「中でも重要なのが、『心理的安全性』です。これはインクルージョンの根幹をなす考え方でもあります。

 心理的安全性が保たれている状態とは、簡単に言うと『分からないときには分からないと言える、質問できる』『失敗を恐れずにリスクを取れる』ということです。これらは、人間関係に不安があるとできません。皆が発言を飲み込まない状態をいかにつくるかが、成長し続ける組織づくりのために大切です。ほかの4要素があっても、この心理的安全性がないと、高い成果を出すチームにはなれないことも分かりました」

 心理的安全性の有無は、組織の売り上げにも影響を及ぼすという。Googleが社内で行った調査研究によれば、心理的安全性が保たれているチームは、売り上げが売り上げ目標よりも17%上回り、保たれていないチームは19%下回るという結果が出た。

 「すべてのメンバーが心理的安全性を感じて、自分の強みや意見が生かされると感じている状況は、チームの帰属意識(belonging)の向上につながり、それがチームの高いパフォーマンスにつながっていくのです」と、岩村さんは強調した。

心理的安全性を保つために、無意識の偏見を排除

 インクルーシブな社内カルチャーをつくるためには、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)をなくすことも大切だ。

 「例えば、女性は気配りが上手、男性は弱音を吐かないだろう……これらも無意識の偏見である可能性がある。こうした偏見がある環境では、メンバーが自分らしさを発揮できなくなり、チームの心理的安全性が結果的に損なわれてしまう。こうした状況を避けるべく、Googleでは無意識の偏見をなくすためのマネジャー向けのトレーニングが行われています」と、岩村さんは説明した。