相互理解を促す上で欠かせない3要素

 では、心理的安全性はどうつくっていけばいいか。金杉さんによれば、チーム内の相互理解を促す上で欠かせない要素が3つあるという。(1)自己開示の促進、(2)少数意見の尊重、(3)無意識の偏見の排除だ。

 Googleはこれらすべてを重視しているが、中でも「無意識の偏見の排除」には全力を挙げて取り組んでいるという。

 「すべての人は無意識の偏見を持っています。重要なのは、自分が持ちがちな偏見を意識し、自覚し、是正すること。自らに判断根拠を問いかけ、判断を下す際には根拠も含めてシェアし、フィードバックを求めていくこと。偏見という扱いづらいテーマをタブー視せず、組織内でオープンに語れる環境も必要です

 同社では偏見を「全員で戦う対象」とし、5つのステップで対応しているという。「社員は偏見に気づき、正しく対処するためのトレーニングを受けています。偏見排除の責任は一人ひとりが負い、偏見を排除した組織運営ができているのか、さまざまな角度からデータによる検証をしています」

 バイアス排除のための研修では、評価や採用などマネジャーが取り組む業務の中で陥りがちなバイアスの種類や、乗り越える方法を学ぶ。その研修の一部を簡易的にアレンジしたワークショップを、日経ウーマンエンパワーメントプロジェクトに加盟している企業の参加者が体験した。

 参加者はGoogle社員のファリシテーションの下、数人ずつのグループに分かれ、アンコンシャス・バイアスに関する2つの事例の中からテーマを選び、問題点や解決策について話し合った。

テーマ1 育休復帰後の社員をマネジャーが出張業務から外した
テーマ2 新規事業を創出するため頭の柔らかい若手でチームを構成した

 1について話し合ったグループの参加者からは、「状況は一人ひとり違うので、まず本人に話を聞くべきだった」「育休を取得したかどうかではなく本人の能力でアサインするべき」「やりたいことをオープンに言い出せる空気が必要」「女性と思い込み議論していたが、社員は男性かもしれない」といった声が聞かれた。

 2については「頭が柔らかい=若手、と決めつけている」「ベテランや外国人などいろんなスキルを持った人を集めたほうがいい」「多様な人を集めて目的を共有することが必要」などの意見が聞かれた。

 約20分間のワークの後には、各グループ代表による発表も行われた。終了後に参加者からは、「自社の研修でも取り入れたい。マネジャー層の意識改革の必要性を感じた」「心理的安全性やアンコンシャス・バイアスを認識する意義について、ビジネスの観点から再整理できた。社内でより説得力を持って推進していくために活用できそうだ」「他社の方とお話しすることで自社の傾向も把握できた」といった声が聞かれた。熱い雰囲気が冷めやらぬまま、日経ウーマンエンパワーメント コンソーシアムの勉強会は幕を閉じた。

文/久保田智美(日経xwoman DUAL)