「コンシャスキーパー」の設置が全員の意識を高める
アンコンシャス・バイアスを意識し、視点を正すための施策として、アマゾンジャパンの人事評価会議で行っていることがある。1つは「ダイバーシティガイダンス」。会議の冒頭に全員で読み、こういう発言には注意しましょうと気を付けるべき点を認識する。もう1つ、会議では「コンシャスキーパー」と呼ばれる役割の人を決め、誰かの発言に「ちょっと今のはバイアスがかかっていませんか」と指摘するようにしているという。
「コンシャスキーパーは誰でもなれるように、気を付けるべき点や、コンシャスキーバーの役割を記したガイダンスをつくっています。これも同じく会議の冒頭に全員が読むので、会議中はコンシャスキーパー以外の人が指摘することもあるんです。コンシャスキーパーというメカニズムを設定することで、全員の意識を高めることができます」と上田さんは話す。
また、他人の意見を受け入れるカルチャーをつくるために、提案書には署名をしないし、本人がプレゼンもしないという徹底ぶり。「○○部長の提案だから」と気を使う必要がないので、提案をよりよくブラッシュアップするために活発な議論がされる。会議にはさまざまなレベルの人が参加していて、ほとんどの提案はその場の議論で採否が決まるという。
「お互いに指摘し合える環境、カルチャーはリーダーが意図的につくるようにしています。リーダーシップ・プリンシプルもその1つ。大切なのは自分が考えたり思ったりすることを大事にすることです。一人ひとりの思いや考えはユニークなもの。そのユニークさを職場に持ってきてもらいたい。他の人の考えや思いもある意味、貴重なデータです。すべての社員が自分の言いたいことを口にすることでイノベーションが生まれているのです」
後半のグループセッションでは、実際に職場でアンコンシャス・バイアスを最小化するためのガイダンスを自分たちでつくる体験をした。すでにアンコンシャス・バイアスへの取り組みを進めている企業は多いが、いかに日常の職場環境に浸透させるメカニズムに落とし込めるか。積極的なディスカッションが展開された。
取材・文/小島潤子(日経xwoman編集部)