2021年7月16日に開催した、日経ウーマンエンパワーメントコンソーシアムのInput&Networkセッションでは、現リクルートワークス研究所 客員研究員の石原直子さんを講師に招き、「女性リーダーを増やす一手 スポンサーシップを考える」をテーマに勉強会を行いました。オンラインイベントのリポートをお届けします。
今回のテーマは「スポンサーシップ」。冒頭、日経xwoman客員研究員の羽生祥子は、これまでに何度も日経xwomanの媒体でスポンサーシップの特集を企画しては頓挫してきた経験を語った。欧米では制度として機能している女性へのスポンサーシップがなぜ日本ではうまくいかないのか。海外の多くの企業事例を取材してきた石原さんに詳しく話してもらった。
メンターとの違いを知ればスポンサーの役割が分かる
前提として、スポンサーシップとは「能力や人間性に対する信頼を基に、そのキャリア構築を支援するために、スポンシー(スポンサーされる人、スポンサードともいう)自身と周囲に働きかける思考と行動」をいう。
具体的には、ホットジョブへのアサインメントや、昇進・昇格の際の推薦、社内外のネットワークとの接続という部分での働きかけを行う。「ホットジョブ」とは、難易度が高いけれど、この仕事で成果を上げれば確実に社内外での評価が上がると分かっている仕事のこと。例えば総務部であれば新社屋への移転、営業であれば新規超大口顧客とのビッグディールなどを指すが、ホットジョブになかなか女性がアサインされない現状がある。
石原さんは「海外のD&I責任者からよく『No More Mentors, Sponsors!(メンターはもう結構、スポンサーが必要!)』という言葉を聞きます」と言う。メンターは「答えはあなたの中にあるから、それを引き出すお手伝いをします」と傾聴するのが基本姿勢。対してスポンサーは「このプロジェクトをこの人にやらせよう」と社内における自分の地位や影響力を生かして、本人のキャリアにつながるアサインメントに直接口を出すのが役割。まったく別のものだ。